<Doctoral Thesis>
Estimation of the absorption coefficient for plane porous material with arbitrary construction based on wave theory

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Abstract  現在,音場内の音圧レベルの調整や反射音の抑制など多岐にわたる目的を実現するために様々な吸音構造体が用いられている。その吸音構造体の吸音率は,背後空気層の状態や多孔質材料の密度などに代表される吸音構造や,音の入射条件によって変化するため,それぞれに適した方法で測定せねばならず,経済的ではなくまた能率的でもない。そこで,本研究は,任意の吸音構造に対する吸音率を推定することを目標とする。そして本論文で...は,波動論的な数値解析手法として3次元の境界要素法を用い,任意の多孔質材料による吸音構造の吸音率を推定する際に必要な条件や手法を明らかにし,その妥当性を検証することを目的とする。  一般に,「吸音率」という用語は,無限大吸音面に平面波が入射するときの入射の仕方によって,垂直入射吸音率,斜入射吸音率,統計入射吸音率とそれぞれ定義されるが,本論文では有限面積の吸音構造を解析対象とするため,吸音面が有限面積である場合も同じ「吸音率」という用語を用いるよう拡張することとした。そしてその定義は,幾何的に算出される入射パワーに対する,吸音面上の法線方向インテンシティの面積積分である吸音パワーの比とした。  まず,厚さ50mmのグラスウール(密度32kg/m3)が半自由空間の剛である反射面に密着した状態で設置されている場合,およびその反射面から平行に浮いている場合について,境界要素法によって斜入射吸音率と統計入射吸音率の予測を試みた。この統計入射吸音率の予測値と実測した残響室法吸音率を比較したところ,良好な整合性を認めることができた。また,斜入射吸音率や統計入射吸音率で生じる面積効果の影響も,境界要素法による予測において明確に観察でき,境界要素法による斜入射吸音率および統計入射吸音率の予測の妥当性を明らかにした。  次に,寸法1m×1mで厚さが150mm,350mmのグラスウール(密度32kg/m3)が半自由空間の反射面に密着して設置されている状態,および厚さ50mmで同じ寸法のグラスウールが高さ100mm,300mmの閉じた背後空気層を伴っている状態の斜入射吸音率と統計入射吸音率の予測を試みた。この吸音構造は比較的断面積が大きいため,このような散乱体を含む開空間音場を境界要素解析する場合に生じる解の非一意性を避ける定式化を採用し,これをグラスクール内部や背後空気層内部空間も解析対象とする領域結合型境界要素法にも適用できるような解析モデルを新たに提案した。その上で,斜入射吸音率を求めたところ,厚いグラスウールが剛壁密着状態で設置されているような吸音構造では,吸音面に局所作用を仮定しても問題ないことが明らかとなったが,背後空気層を伴うような吸音構造では,特に背後空気層の高さが高い場合には局所作用を仮定できないことを確認し,領域結合型境界要素法を用いるべきであることを示した。また,実測した残響室法吸音率と境界要素法で得られる統計入射吸音率を比較したところ,これらは特に低域において一致せず,実際の残響室内における吸音構造体設置位置周辺の入射条件が,数値解析において前提としている統計入射と異なっていることが原因であると推測された。  そこで,残響室内における入射条件を把握するため,拡散板が無いとした単純な残響室内解析モデルに対して,境界要素法によるインテンシティ解析を行った。この解析には瞬時インテンシティの時間平均であるアクティブインテンシティを用いて行ったが,その結果,この解析モデルにおいてはアクティブインテンシティが0を示しておらず,拡散音場が実現されていないことが確認された。そこでこのアクティブインテンシティを用いて残響室内の吸音構造体設置位置周辺の入射条件を解析し,この入射条件を半自由空間における吸音率予測に適用した。この結果,拡散板が無いときの残響室法吸音率は,それがあるときよりも高い値を示す傾向にあったが,これと同じように,統計入射から入射条件を偏らせた場合の吸音率も概ね高い値を示し,定性的に,アクティブインテンシティによる入射条件を適用することによって残響室内の非拡散性による吸音率への影響を予測できることを示した。  以上の検討から,半自由空間において,点音源による入射条件を適切に設定することによって,良い精度で吸音率の推定が可能であり,有限面積の多孔質材料を用いた吸音構造に対する3次元境界要素法による吸音率推定は妥当性を有することが明らかとなった。特に比較的吸音性能が低いものに対しては,理想的な統計入射を仮定することによって残響室法吸音率を予測できることが明らかとなった。それに対して,吸音性能の比較的高い吸音構造の残響室法吸音率の推定では,測定に用いる残響室内における入射条件を的確に把握し,統計入射ではなくその入射条件を設定する必要性が指摘された。show more
Table of Contents 目次 第1章 序論 第2章 境界要素法による3次元空間の音場解析 第3章 吸音率の定義と多孔質材料の音響特性モデル 第4章 剛壁密着状態の薄い多孔質材料 第5章 反射面と平行に浮いている薄い多孔質材料 第6章 剛壁密着状態の厚い多孔質材料 第7章 閉じた背後空気層を持つ薄い多孔質材料 第8章 吸音体への入射条件を考慮した吸音率 第9章 総括 謝辞 付録A 境界要素法における数値積分の処理 参考文献

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pdf k015-01 pdf 120 KB 342 目次
pdf k015-02 pdf 440 KB 328 第1章
pdf k015-03 pdf 2.07 MB 331 第2章
pdf k015-04 pdf 808 KB 351 第3章
pdf k015-05 pdf 1.15 MB 295 第4章
pdf k015-06 pdf 916 KB 206 第5章
pdf k015-07 pdf 1.44 MB 210 第6章
pdf k015-08 pdf 1.26 MB 270 第7章
pdf k015-09 pdf 3.41 MB 291 第8章
pdf k015-10 pdf 464 KB 208 第9章
pdf k015-11 pdf 46.3 KB 203 謝辞
pdf k015-12 pdf 453 KB 204 付録A
pdf k015-13 pdf 236 KB 308 参考文献

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Created Date 2009.08.13
Modified Date 2020.11.12

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