<博士論文>
映像の変化パターンと音高の変化パターンの調和

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論文調査委員
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概要 映像と音の変化パターンの間に形成される調和感に関して,日本人・韓国人・中国人を対象として種々の条件下で印象評価実験を行い,体系的に検討を行った。映像の変化パターンとしては,上下の変化,左右の変化,拡大・縮小を対象とした。音の変化パターンとしては,音高の直線的な上昇および下降を対象とした。 まず,音高の上昇・下降と,映像の上下,左右,拡大縮小の各変化パターンの調和に関して印象評価実験により検討した。...上下方向に切り替わるパターンに関しては,3カ国の被験者群とも,上昇方向への映像の切り替えと音高の上昇が調和し,下降方向への映像の切り替えと音高の下降が調和する傾向が得られた。上下という感覚に関しては,視覚と聴覚で共通した言語表現が使われているように強い結びつきがあり,上下方向の一致が高い調和感をもたらすと考えられる。拡大・縮小を用いた切り替えパターンにおいては,各被験者群とも,拡大する映像と上昇する音高,縮小する映像と下降する音高の組み合わせにより,音と映像が調和する傾向が得られた。調和する音と映像の組み合わせは,移動音源から日常体験されるドップラー・イリュージョン体験と同様の知覚内容であるため,自然な調和感が得られると考えられる。左右方向に切り替わるパターンに関しては,各被験者群とも,右方向への映像の切り替えと音高の上昇,左方向への映像の切り替えと音高の下降が調和する傾向が得られた。左右方向と音高の上下の対応関係による調和感は,視覚と聴覚から連想されるエネルギー・レベルが一致したことによるものと考えられる。次に,映像の3つの変化パターンから2つの変化パターンを組み合わせ,音高の上昇・下降との調和感について検討した。拡大・縮小が組み合わさった複合的な映像の変化パターンの場合には,3カ国の被験者群とも,映像と音高の上下方向の一致が,調和感に関して大きな影響力を持つ。拡大・縮小と音高変化の調和の効果に関しては,日本人では有効であるが,中国人では有効ではなく,韓国人では部分的に有効であった。上下と左右の動きを組み合わせた斜め方向の変化パターンにおいては,各被験者群とも,上下の動きが調和する音高パターンを決定する。左右方向の動きの影響は,ほとんどない。拡大・縮小と左右の動きを組み合わせた変化パターンにおいては,日本人,韓国人の被験者群では,拡大・縮小が調和する音高パターンを決定する。右方向,左方向いずれの動きを組み合わせた場合も,拡大には音高の上昇が,縮小には音高の下降が調和する。中国人被験者もおいても同様の傾向がみられるが,その効果は小さい。空間の上下感覚と音高の上下感覚の結びつきはかなり普遍的なもので,この結びつきは,日・韓・中の被験者群とも,映像の上下方向の変化が左右方向の変化,拡大・縮小と組み合わさった場合にも,他の要因に埋もれることなく機能する。複雑な変化パターンの映像も,上下方向の変化に合わせた音高の変化を組み合わせれば,音と映像の調和感が形成されると考えられる。左右の動きは,単独の場合には調和する音高の変化パターンは明確に定まるが,他の変化と複合した場合,日・韓・中の被験者群とも,調和する音高パターンを決める要因としてはあまり機能しない。最後に,音高の上昇・下降と映像の3条件の変化をすべて複合した視聴覚刺激の調和感について検討した。3カ国の被験者群に共通して,音高の上昇と上方向の移動,音高の下降と下方向の移動が調和する傾向,および,音高の上昇と映像の拡大,音高の下降と映像の縮小が調和する傾向が示された。ただし,音高と左右方向の調和の効果は認められなかった。2つの映像変化を組み合わせた実験においても,音高変化と左右方向の変化の調和に基づく効果は認められなかった。映像の変化が複合化した場合,左右の動きと音高変化との調和の効果は小さい。左右の動きの影響は明確ではなかったが,音高の上下とこれと調和すると考えられる映像の変化条件を3つ複合した視聴覚刺激においては高い調和度,調和しないと考えられる映像変化の3つ複合した視聴覚刺激においては低い調和度が得られた。さらに,日本人・中国人被験者群には,音高と映像の上昇が調和する効果が両者の下降が調和する効果より優勢である傾向が認められた。日本人被験者群では,さらに,音高の下降と映像の縮小が調和する効果が上昇と拡大が調和する効果よりも優勢である傾向,上昇と右方向が調和する効果が下降と左方向よりも調和する効果よりも優勢である傾向が認められた。ただし,このような傾向による調和度の差は小さい。韓国人被験者においては,このような傾向は認められなかった。本研究において,音と映像の間に成立する調和感に関して体系的な知見を示せたことは,視聴覚融合の過程を解明する上で有意義であり,視聴覚コンテンツのデザインにも活かしうるものと期待される。続きを見る

本文ファイル

pdf 10_appendix pdf 71.7 KB 229 その他資料
pdf 09_reference pdf 206 KB 507 参考文献・引用文献
pdf 08_acknowledgement pdf 174 KB 218 謝辞
pdf 07_chapter5 pdf 192 KB 473 第5章 本論の結論
pdf 06_chapter4 pdf 671 KB 415 第4章
pdf 05_chapter3 pdf 559 KB 370 第3章
pdf 04_chapter2 pdf 683 KB 569 第2章
pdf 03_chapter1 pdf 292 KB 1,337 第1章 まえがき
pdf 02_contents pdf 1.43 MB 275 目次
pdf 01_cover pdf 118 KB 238 表紙

詳細

レコードID
査読有無
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授与日(学位/助成/特許)
受理日
部局
登録日 2013.07.10
更新日 2023.07.31

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