<Doctoral Thesis>
A study on read/write properties and magnetization thermal stability for high density magnetic recording

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Abstract 近年の高度情報化社会は,情報処理のための計算機技術,情報転送のための通信技術そして情報蓄積のための記録技術により支えられている。これらのうち,記録技術の分野では現在のところ主に磁気記録技術がその役割を果たしている。現在はマルチメディア時代とよばれ,ディジタル記録が主流となっている。しかしながらディジタル記録にはアナログ記録と比較して高密度かつ高速な記録技術が要求される。ハードディスクの記録密度は年...率60~100%の伸びを示し,現在では100Gb/in2(156Mb/m ㎡)が実証されている。更なる記録の高密度化を実現するには高トラック密度化と高線記録密度化そして媒体の薄膜化および微粒子化による高S/N 化が必要であると考えられる。本論文では,高トラック密度化に重要なトラックエッジ諸特性の解析と微粒子化によって生じる磁化の熱安定性の問題に焦点を当て研究を行った。以下にその概要を述べる。
現在の記録再生方式は広トラック記録・狭トラック再生であり,残留トラックの最も特性の良いトラック中央部のみを再生に用いている。今後更に高トラック密度化を進めるためには再生ヘッドの幅を記録ヘッドの幅に等しくする必要があると考えられる。しかし,それにはクロストークの低減とトラックエッジノイズ低減のためにトラックエッジの記録状態の改善が必要となってくる。
3 章で誘導型薄膜ヘッドを用いて薄膜磁気ディスク媒体のトラックエッジ記録特性の基礎的な解析を行い,4 章で磁極形状の異なる数種の記録用薄膜ヘッド,再生に磁気抵抗効果型ヘッド(MR ヘッド)を用いて,記録フリンジ磁界の評価と狭トラック記録・再生を想定したオフトラック記録の影響について考察を行った。3 章の誘導型薄膜ヘッドを用いた記録再生では,低線記録密度ほど再生にじみが大きくなることが分かった。4 章では薄膜ヘッド・薄膜ディスク系の残留トラック幅を再生出力から計算によって求める方法を提案し,それにより残留トラック幅,ヘッドフリンジ磁界の広がりおよび再生にじみの広がりを推定することが可能となった。これにより今後の薄膜記録ヘッドの構造として,その上下磁極の幅を揃えることがヘッド磁界の広がりを抑える上で非常に有効であることが分かった。狭トラック記録・再生を想定したオフトラックオーバーライトの実験では,オフトラック記録(記録ミスレジストレーション)が起こった場合には隣接トラックが受けるダメージは線記録密度が低いほど大きいことが分かった。線記録密度が高くなると出力の低化やエラー増加が起こるため,線記録密度を下げるように工夫されている符号化方式に対しては,線記録密度をあまり下げすぎると高トラック密度化に不利であることがわかった。
薄膜媒体を構成する磁性粒(magnetic grain)や塗布媒体を構成する磁性粒子(magneticparticle)の微細化は記録の高分解能化と媒体ノイズの低減に非常に有効であり,現在それに向かった開発が行われている。しかし,粒または粒子の微細化は磁気異方性エネルギーを減少させ,熱エネルギーの支援によって磁化が不安定になるという新たな問題が顕在化しつつある。そこで微粒子化の限界を熱安定性の観点から評価するために,粒子の熱安定性のみの評価が比較的簡単に行うことのできるテープ媒体を用いて研究を行った。
5 章では最新の超微粒子(粒径約22nm)媒体の記録特性を評価した。実測データと出力損失の項による計算結果の比較から再生ギャップ長が無限小ヘッドを想定して媒体性能を評価することによって,超微粒子媒体は非常に高い分解能(275kFRPI または11kFRPMM)を有していると推定できた。
6 章では△M 曲線の測定により粒子間相互作用を評価し,それが熱緩和特性に与える影響について検討した。熱安定性を評価する指標として用いられるKuV/kT(Ku:磁気異方性定数,V:粒子体積,k:ボルツマン定数,T:絶対温度)が大きいほど磁化は熱的に安定であると考えられているが,微粒子ではその値が小さくても安定であるものが確認された。粒子間相互作用を含めあらゆる磁気特性の影響を含む活性化体積Vac を用いた場合にはKuVac/kT と磁気粘性係数の間に強い相関があることが明らかとなった。粒子間相互作用は粒子配向により異なり,正の相互作用の大きなものは強い減磁界中での熱緩和が大きくなることが分かった。
7 章では媒体の磁気特性を磁界スイープレートの比較的小さいVSM と非常に大きいパルス磁界により磁気余効を測定した結果,粒子寸法が小さくなるに従って磁気余効が大きくなる傾向が確認された。また,この媒体を用いて熱安定性の指標であるKuV/kT の実効的な値を推定し,粒子寸法が小さいものほどKuV/kT の値が小さくなる傾向を明らかにした。
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Table of Contents 目次
第1章 序論
第2章 高密度記録を指向した高トラック密度化の問題点
第3章 磁気ディスクにおける記録・再生にじみとその分離
第4章 磁気ディスクにおける記録にじみの磁極形状依存症とオフトラック記録の影響
第5章 超微粒子記録媒体の記録特性と熱緩和特性
第6章 粒子配向の異なる媒体における粒子間相対作用と熱緩和特性の関係
第7章 超微粒子記録媒体の実効的熱安定性指標の推定
第8章 結論
謝辞
参考文献
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pdf k063-001 pdf 25.0 KB 372 表紙
pdf k063-002 pdf 123 KB 320 目次
pdf k063-003 pdf 722 KB 352 第1章
pdf k063-004 pdf 1.20 MB 348 第2章
pdf k063-005 pdf 1.90 MB 339 第3章
pdf k063-006 pdf 2.32 MB 342 第4章
pdf k063-007 pdf 2.56 MB 310 第5章
pdf k063-008 pdf 1.22 MB 332 第6章
pdf k063-009 pdf 1.86 MB 396 第7章
pdf k063-010 pdf 389 KB 220 第8章
pdf k063-011 pdf 80.2 KB 253 謝辞
pdf k063-012 pdf 834 KB 269 参考文献

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Created Date 2014.01.24
Modified Date 2020.10.06

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