<学術雑誌論文>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)及び高分解能ガスクロマトグラフィー/高分解能質量分析法(HRGC/HRMS)による血中PCB異性体別分析

その他のタイトル
作成者
本文言語
出版者
発行日
収録物名
開始ページ
終了ページ
出版タイプ
アクセス権
JaLC DOI
関連DOI
関連URI
関連HDL
概要 We studied the progressive analytical method for polychlorinated biphenyls (PCBs) in blood samples collected from Yusho patients. This study established a systematic procedure for determining both "to...tal concentration of PCBs and their profiles" and "concentrations of mono-ortho PCBs as dioxin-like compounds", providing a significant index for diagnosis. The method we developed consists of a rapid clean-up using gel permeation chromatography (GPC) and sensitive identification with high resolution gas chromatography/high resolution mass spectrometry (HRGC/HRMS). This method provides identification of all of PCB congeners typically detected in human blood samples, especially it is worth noting that nine significant congeners on Yusho diagnosis (IUPAC # 105, # 114, # 118, # 123, # 153, # 156, # 157, # 167, # 189) were detected from a five-gram blood sample. Using the present method, we analyzed sixty-six individual blood samples collected during the annual Yusho inspection in the 2004, and could identified sixty-eight PCB isomers in all samples. As a result, ten patients were classified into pattern A, the typical Yusho pattern. The mean total PCB concentration of pattern A subjects was 2.95 ppb, while that of control subjects was 0.77 ppb, at whole blood basis respectively.
油症検診において「血中PCBの性状及び濃度の異常」は重要な診断所見である.「血中PCBの性状」とは電子捕獲型検出器(ECD)を備えたパックドカラム/ガスクロマトグラフ(GC)測定で得られるガスクロマトグラムパターン(GCパターン)を,「血中PCB濃度」とはその測定結果から得られるPCB濃度の総和を指す.油症患者血液のGCパターンの特徴は,DDE(農薬DDTの代謝物)のピークから数えて1番目のピークが相対的に低く,5番目のピークが相対的に高いことであり,2番目のピークを基準にそれぞれの比を取り健常者と比較する(統計上の離れ度合いを比較する)ことで,患者と健常者との違いを区別している.このようにして,血中PCBの性状が健常者群と大きく異なる場合は「A」,健常者とは区別できない場合「C」,その中間は「B」または「BC」と分類される.近年,患者の血中PCB濃度は低下傾向にあり,健常者との明確な区別は困難になりつつある.したがって,血中PCBの高精度かつ高感度な定量方法を確立することが望まれる.我々はそのための予備検討として,油症患者の血中PCBのパターン分類におけるパックドカラム/ガスク(110)GPCとHRGC/HRMSによる血中PCB分析221ロマトグラフ法と高分解能ガスクロマトグラフィー/高分解能質量分析法(HRGC/HRMS)法の同等性を確認した.一方,平成16年度から検診項目に「血中PCDF濃度」が追加され,血液中のPCDFとその類縁化合物のPCDD及びcoplanarPCBを含めたダイオキシン類を測定し,臨床症状との関連性を調べることになった.血液中ダイオキシン類の分析には通常50g以上の血液を必要とするので受診者の大きな負担になること,また試験操作が煩雑でデータ確定に長期間を要する等の課題があった.そこで我々は血中ダイオキシン類分析の迅速化・精密化に関する技術的検討を行い,5グラムという少量の血液からダイオキシン類(8種類のmono-orthoPCBsを含む)を迅速かつ高感度に検出する手法を開発し,全国の油症患者の血中ダイオキシン類濃度を測定した.本研究では,これらの分析方法の効率性と分析値の精密性をさらに向上させるための検討を行った.すなわち「PCB濃度と性状の分析」と「ダイオキシン類分析」を統合・一元化し,血液中のPCBを正確・精密に定量する方法の開発を試みた.ここに報告するのは(1)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による血液試料のクリーンアップ,(2)HRGC/HRMSによる血中PCBの異性体別微量分析,(3)新しい系統分析法による平成16年度油症一斉検診血中PCB分析(約70試料)の結果である.
続きを見る

本文ファイル

pdf fam96_5_p220 pdf 22.3 MB 647  

詳細

PISSN
NCID
レコードID
査読有無
関連PubMed ID
主題
注記
タイプ
登録日 2012.06.04
更新日 2023.07.28

この資料を見た人はこんな資料も見ています