<Doctoral Thesis>
A study on impression of product form

Creator
Academic Year Conferred
Conferring University
Degree
Degree Type
Access Rights
Abstract  デザインコンセプトに対して与えられる表現は多義的であることが多く、一つのデザインコンセプトから生まれるアイディアスケッチを最初から一つの最適解に絞り込むことは難しく、デザインではそれを得るための試行錯誤が行われるのが普通である。こうしたデザイナーの経験に基づいた手法に対し、ユーザーによる印象評価の結果を情報として利用するとデザイン解と企画された造形コンセプトとの差の明確化・縮小化が効率的に行われ...ると考えられ、最適解を絞り込むための試行錯誤の回数を少なくすることが期待できる。しかし、既存の研究では特定の製品を対象にして印象評価を行うのが主流で、種々の製品を利用して製品の種類を問わない普遍的な印象を把握する研究は見当たらない。また、色彩、材質、性能、耐久性など多くの要因を含めた総合的な印象を扱っているためそのデータの数も非常に多いし、それらの要因は相互に関連しているのでデザインの上流で形態を中心にスタイリングしたい場合はその活用がむずかしい。このことから、本研究では製品の種類を問わず製品の形態がもたらす種々の印象間の関係を明らかにすることを目的にした。
 第1章では、本研究の背景と目的について述べ、本論文の構成について示した。第2章では、単一製品(デジタルカメラ)を対象にして形態による製品の印象と形態の構成要素を分析し、両者の関係を明らかにするとともに、このような研究方法の有効性について検証することを試みた。その結果、印象評価の第1因子(重厚感)と形態構成要素の第1因子(大きさ)の間、及び印象評価の第3因子(滑らかさ)と形態構成要素の第2因子(曲線性)の間で有意な相関があることが確認できた。また、各因子を構成しているSD項目との関係や、因子分析から得られた因子得点による、製品の特徴分析からも有益な成果が得られた。これらのことからここで用いた研究方法の有効性が検証できた。
 第3章では第4章の研究をより有効に進めるための研究方法について検討した。まず、SD項目の構成について検討した結果、ユーザーは種類が異なる製品の形態を把握するとき、その基準が製品の種類によってさまざまになる可能性があることが考えられ、形態の物理的指標より形態の直接的印象を用いる方が良いと考えSD項目に形態ワードを含め、形態ワード、イメージワード及び態度ワードから構成した23個のSD項目を選定した。評価対象になる製品の選定においては、アンケートの結果と製品形態の多様性などを考慮し、機能重視製品4種類、形態重視製品4種類、どちらでもない製品2種類、計10種類39個の製品が選ばれた。
 次に製品画像の提示方法が形態の印象に及ぼす影響を検討した結果、主な色が白と黒のように極端に違うと形態の印象に及ぼす色の影響では有意な差がみられたが、黒色の割合を20%から50%の間にすると色の影響を無視できることが確認できた。さらに、製品画像を紙の上質紙、下質紙で示す場合はプロジェクターで示す場合より印象について被験者から得られる情報量が少なくなるということが考えられた。
 第4章では、評価対象になる製品の種類を増やし、因子分析を用いて製品の形態がもたらす種々の印象を分析しそれらの印象間の関係を検討した結果、形態ワード第1因子(太さ)はイメージワード第5因子(シンプルさ)、第3因子(安定感)及び第2因子(親近感)と有意な相関関係が見られた。形態ワード第2因子(大きさ)はイメージワード第3因子(安定感)と有意な相関が見られたが、その他のイメージワード因子とは有意な関係が見られなかった。形態ワード第3因子(丸み)はイメージワード第1因子(一般性)及び第2因子(親近感)と有意な関係を示したが、その他のイメージワード因子とは有意な関係が見られなかった。イメージワード第4因子(気品)はどの形態ワードとも有意な関係は認められなかった。さらに、態度ワード因子(格好良さ)と形態ワード3因子及びイメージワード5因子との関係を知るために重回帰分析を行った結果、態度ワード因子と形態ワード因子との間では有意な関係が見られなかったが、態度ワード因子(格好良さ)とイメージワード5因子では有意な関係が見られ、態度ワード因子「格好良さ」にはイメージワード第4因子「気品」が最も強く寄与していて、次はイメージワード第1因子「一般性」、第5因子「シンプルさ」及び第3因子「安定感」の順であることが分かった。しかも、イメージワード第4因子(気品)は形態ワード3因子との間で一つも有意な関係が見られなかったことから、イメージワード第4因子(気品)は形態ワードの因子より態度ワード因子と強く関係していることが考えられた。第5章では、第2章から第4章において明らかになった製品形態の印象について総括を行い、本研究の意義と有用性について述べた。
show more

Details

Record ID
Report Number
Number of Diploma
Granted Date
Faculty
Created Date 2009.08.13
Modified Date 2020.10.06

People who viewed this item also viewed