<博士論文>
企業のペイアウト政策に関する実証研究

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論文調査委員
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概要 Black(1976)は、配当が自社株買いと比べて税制上不利であるにもかかわらず、多くの企業が配当を支払っているという「配当パズル」を指摘した。「配当パズル」は現在でも解決されておらず、これまでのペイアウト(配当と自社株買い)研究を概観すると、「配当パズル」に関連した研究が数多くなされている。具体的には、次の5つの観点(①シグナリング理論、②コーポレート・ガバナンス、③ケータリング理論、④ペイアウ...ト手段の選択、⑤配当課税)に基づいた分析が行われている。本論文は「配当パズル」に関連した先行研究のうち、日本企業の特性と関係の深い部分に焦点を当て、実証分析を行ったものである。よく知られているように、1990 年のバブル崩壊後、日本企業の株価やROEといった経営パフォーマンスを表す指標が低下したと言われている。この原因の1つとして、バブル期(1986年頃~1990年頃)に経営者が過大投資を数多く実施したことで、株主価値の毀損を招いたことがあると考えられている。このため日本企業は1990年以降、効率的なコーポレート・ガバナンスの実現に注意を払い、その一環として株主還元(以下、ペイアウト)政策を従来よりも重視するようになった。また1994年の商法改正では自己株式の買戻し(自社株買い)によるペイアウトの実施が可能となった結果、ペイアウト手段として配当と自社株買いの選択が可能になった。一方で日本企業は従来から低位安定配当政策を採用しているという主張がなされることが多く、日本企業の経営者は米国企業と同様にLintner(1956)型の配当平準化を行ってきた可能性がある。このように配当を平準化している国がある一方で、相対的に配当を平準化していない国も多く存在し、日本企業や米国企業がなぜ配当を平準化するのかについては先行研究で十分に明らかにされていない。以上をまとめると日本企業のペイアウト政策を分析するにあたって、(1)ペイアウト手段の選択、(2)コーポレート・ガバナンスとペイアウト政策の関係、(3)配当平準化について考察することが重要であると考えられる。本章では、企業のペイアウト政策に関する先行研究を概観し、そのうえで本論文の分析対象について説明する。続きを見る
目次 第1章 序論 : 本文の概要 第2章 留保利益とペイアウトのコミットメント 第3章 ストックオプションと配当政策 第4章 配当平準化とその要因 : 国際データによる実証分析 第5章 本論文の要約とインプリケーション

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登録日 2013.06.27
更新日 2023.11.21

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