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概要 |
第1章 序論 研究の目的と方法
本研究は、建設業会計が経営事項審査制度において重要な役割を果たしていることを前提にして、審査制度と企業評価が整合していないことを明らかにすることである。
実態の把握として、山口県内の中小建設業者へのアンケート調査の実施および結果の分析を行うことで経営事項審査制度の問題点を指摘する。
第2章 建設業法と経営事項審査制度
建設業においては、施工...能力、資力信用がある者にその営業を認める制度が求められる。建設業法は、軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者を除き、建設業を営もうとする者は、建設業の許可を受けなければならないとして、許可制度について規定する。
建設業法は、建設工事の発注者を保護するともに建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とするものである。建設業法が昭和24年に制定されて以来、経営事項審査制度(法27条の23)は幾度かの改正を経ている。経営事項審査制度は、企業の施工能力と資力信用を評価するものである。
最近の改正では、経営事項審査を中核とする企業評価制度について、量的な指標である完成工事高の比重の見直しが行われ、規模の競争ではなく技術力・質による競争を促すような制度に変更されている。現行の経営事項審査制度は、経営規模、経営状況、技術力や社会性等とで評価する混合評価で、総合点数を用いて企業を格付けする。社会性等の建設業経理事務士等数が零点でも総合評価点で高い格付けがもらえるので、建設業経理事務士等の評価を軽視している知見を得ている。
本章では経営事項審査制度の変遷について述べて、制度の問題点を指摘する。
第3章 建設業会計と会計倫理
公共工事に参加しようとする企業は、すべて経営の内容や施工能力について公的な立場から審査する経営事項審査を受けることが義務付けられている。
国や地方公共団体は、経営事項審査で企業の客観的な状況を把握するとともに、これに独自に有する過去の工事の施工実績に基づく評価点を加味して各企業の格付けを行う。
会計倫理とは、企業が会計実務において遵守すべき事項である。たとえば、建設業者は経審の評価点を上げるために会計操作(粉飾)をすることがある。赤字決算の場合、中小企業は対外的信用を維持するために利益を計上し、減価償却については商法上相当な償却が義務付けられているが、償却をしないで利益を調整することがある。他に操作の可能性の高い勘定科目として、未成工事支出金、借入金と支払利息がある。
アンケート調査から、建設業協会に加入していない企業、経理事務士への評価が低い企業、税理士・会計士等の職業会計人の指導のない企業や、経営事項審査シミュレーションソフトを多用する企業は、会計業務に重きを置いていないのではないかとの知見を得ている。
本章では、山口県内の中小企業へアンケートを実施して会計倫理の問題点を指摘する。
第4章 建設業の会計と税務
建設業の大部分は株式を公開していない中小企業であり、税法中心の会計で損益計算を行っている企業が多い。企業利益は一般に公正妥当と認められる会計基準に従って計算され、企業の実態を表わすものでなければならない。税法基準の会計は課税所得を計算するためのもので、必ずしも企業の実態を表わすものでない。所得計算に加算・減算項目を入れていることが、本来の企業利益に法人税が対応していないといわれる。国際会計基準の税効果会計が導入される所以である。
建設業の経営事項審査において完成工事高の評価点が高い比重を持っているので、工事完成基準と工事進行基準のどちらを採用するかによって、完成工事高の金額が異なる。工事進行基準を採用した方が、経営事項審査において有利になる知見を得ている。しかし、工事進行基準では完成工事高の算出が合理的なものになるかが問題となる。
本章では、企業会計における収益の認識基準、請負契約における収益の計上時期、完成工事原価の税務上の留意事項や共同企業体の会計などの問題点を指摘する。
第5章 結語
本章では、建設業会計と経営事項審査制度について本研究での成果の総括を行い、この制度に対する今後の課題について考察する。続きを見る
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目次 |
目次
1 序論
第1章 序論
第2章 建設業法と経営事項審査制度
第3章 建設業会計と会計倫理
第4章 建設業の会計と税務
第5章 結語
参考文献
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