<博士論文>
中国古典様式家具の日本への受容過程に関する研究

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論文調査委員
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概要  本研究は中国より請来した家具文化を,どのように変容させながら日本が受け入れたかを,実証的に明らかにするために,家具表記や接合技術そして家具用材と坐臥具について,中国古典様式家具と日本家具に関する文献史料と実地調査により比較研究を行なった。そして,不明確な日本家具の成立過程と中国家具文化とのかかわりについて,実証的に究明することを目的としたものである。  日本では奈良・平安時代より家具の概念に...相当する表記は調度であった。調度は建築空間の装置・設備を総称し,建築と調度が一体化して捉えられ、家具としての認識が見られない。そのために,日本家具表記は中国家具文化が請来した後に,家具表記や様式の独自の変容が見られる。日本の家具表記は,調度から家飾具そして家什具・指物などに変遷し,1876(明治9)年頃に中国と共通した家具表記が出現したものと確認することができた。  中国と日本の家具接合表記と技術の比較研究では,日本における接合表記や技術の一部は大陸から仏教寺院建築の様式と技術と共に伝来し受容したが,工人の口伝による継承が主であり,表記は慣用表現が一定でなく出版物はそれを範例としたために,著しい乱れと独自の変容した表記が見られる。両国の共通した接合表記は接合で,接合技術は共通するが接合表記が異なるものが多く見られる。  中国と日本における家具用材について,共通性が見られるケヤキ用材に関して調査を行った結果,中国のケヤキは唐代の木胎家具用材から明式家具の主要な用材となり,正倉院の調度とケヤキ用材利用において共通性が見られる。中世では書院の違棚,出文机など家具的なものと寺院の交椅や供卓にケヤキ用材が見られる。  韓国の李朝時代においてもケヤキ用材が使用され、中国のケヤキと金具意匠が間接的に日本の船箪笥に影響したと考えられる。ケヤキ用材は中国から朝鮮半島そして日本において,民族や時代を超えて使用された家具用材である。  「床(牀)」は中国では寝台であるが,日本では床(ユカ,トコ)や床子(坐床)と受け入れられ,坐臥具を意味する「榻」が縁台や長椅子(床几)などに変容した受容過程がみられる。  中国の椅子文化の請来は,正倉院の赤漆欟木胡床(倚子)に見られる。仏具として請来した曲彔は,中国での表記は交椅や圏椅であり,日本での機能性や表記に変容が見られる。また,中国の漢代に出現した凳(胡床)は,平安時代には腰掛(中国表記は凳子)として絵巻物に見られるが,江戸時代は凳(鞍掛・榻)になり,現在では形態としては風呂腰掛や踏台,表記は神事用の胡床として現存している。さらに,中国の案,卓,几が日本では几・机に,衣櫃が衣裳箪笥など,中国古典家具表記の変容が見られる。  以上のことから,日本家具の成立過程において,中国古典様式家具を変容させながら受け入れたことを,実証的に明らかにすることができた。続きを見る
目次 目次 序論 研究の目的と構成 第1章 中国と日本における家具表記に関する比較研究 第2章 中国と日本における家具接合表記と技術の比較研究 第3章 中国古典様式家具の日本への影響 -ケヤキ家具用材を中心として 第4章 中国古典様式家具の日本への影響 -坐臥具を中心として 結語 資料編 謝辞

本文ファイル

pdf k020-01 pdf 496 KB 438 表紙
pdf k020-02 pdf 1.54 MB 416 序章
pdf k020-03 pdf 17.6 MB 663 第1章
pdf k020-04 pdf 7.61 MB 398 第2章
pdf k020-05 pdf 7.89 MB 386 第3章
pdf k020-06 pdf 11.1 MB 5,686 第4章
pdf k020-07 pdf 764 KB 314 結語
pdf k020-08 pdf 15.4 MB 406 資料編
pdf k020-09 pdf 243 KB 290 謝辞

詳細

レコードID
査読有無
報告番号
学位記番号
授与日(学位/助成/特許)
受理日
部局
所蔵場所
所在記号
登録日 2009.08.13
更新日 2020.11.11

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