<博士論文>
地下街における歩行者系サイン配置システムの構築方法に関する研究

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論文調査委員
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概要  現在,交通の発展による歩行者のための安全性と快適性を考えた地下街の必要性が高まっている。しかし,地下街は迷いやすい空間になっているため,利用者のニーズを考慮した情報が必要である。このことに着目し,本研究は,歩行者にわかりやすく地下街との双方向のコミュニケーションに対応できる,地下街と歩行者との関係を考慮した歩行者系サイン配置システムの構築方法を導くことが目的である。  天神地下街(日本,福岡市...)と大田地下街(韓国,大田市)を主な対象とした歩行者系サイン配置システムの構築のために,両地下街の分布実態調査及び利用実態調査を比較した結果から,以下の共通の特性と個別の特性が得られた。共通の特性は,地下街(公共敷地)においては,サインの種類と場所が限定されており,それぞれの設置場所が集中しているため,場所ごとの情報が不均等なことなどが明らかになった。地上空間においては,情報の量と種類が少なく,地下街及び民間敷地に関する情報が少なかった。地下街とつながる建物(民間敷地)においては,サインの種類は多様だが,建物によってサインの種類と配置が不規則であった。これらのことから,調査した地下街のサイン分布の共通特性には,同じサインの種類が一定の規則で設置されている一定型,設置されているサインが場所によって集中している集中型に整理することができた。一方,サイン分布の個別特性は,天神地下街の場合での案内サインの設置間隔が長いなどのサインの量的な不足が,大田地下街の場合での場所ごとの不規則な集中などのサイン分布の偏り,などに分けられた。上記の共通及び個別特性から,現況の地下街サイン配置は,一定型における情報と情報間の不連続性による情報入手のしにくさ,そして集中型における情報の規則的又は不規則的な集中による情報選択のしにくさなどの課題にまとめることができた。これらの課題は,分布特性である一定型と集中型を繰り返す,波型の配置特性がその要因であることを見出した。また,実態調査から得られた知見の検証のために歩行者の利用実態調査を行った結果,地下街における利用率は,交差点,出入口,そして“場所と場所が接する所(交差点,出入口,広場,通路などが接する所)”の順に高い傾向があり,これらの場所で動線が複雑で屈曲する,特に迷いやすい状況であった。利用率が最も多い交差点は設置されているサインの量が少ない一定型の場所であること,出入口はサインの量がいちばん多い集中型の場所であること,“場所と場所が接する所”,すなわち中間領域は交差点と同様にサインの量が少ない一定型の場所であること,などが主に迷いやすい状況であった。これらから,両地下街に共通特性での解決すべき課題には,一定型の場所と集中型の場所のサインの種類と量の差を調和させるために,サインの量が不足している一定型の場合は情報の種類の多様化,サインが集中するために逆に情報が選択しにくくなっている集中型には目印としての個性化などが有効であり,各地下街における個別特性での解決すべき課題には,設置の高さや情報技術を活用するなどのさまざまな情報提供の案内サインなどによる多様化,また場所別に必要とされる情報を提供するなどの個性化の対応が有効となることを導いた。  以上のことから,一定型と集中型のサインの分布特性から得られた現状における波型の配置特性を改善する方策としては,地下街の各場所での「均等な利用形態」を提供するための「多様化」と「個性化」による新たな配置システムの構築方法が考えられる。共通特性の一定型においては,情報が少ないことが利用者にとって迷う原因になっていることから,固定している情報と可変できる情報などを活用した方向誘導案内情報などを「多様化」させること,集中型でのわかりにくい情報に対しては,わかりやすく場所のイメージを与える個別情報としての目印や各場所で必要とされる情報を「個性化」させることである。つまり歩行者と地下街との双方向コミュニケーションから得られる場所別の利用形態を「均等化」するために必要とされる新たな情報を,共通情報は「多様化」の方法によって,また個別情報は「個性化」の方法を用いる双方向コミュニケーションを考慮したサイン配置システムの考え方となる。この考え方に基づいて,サインの平面配置をシステムとして整理するために,各場所をユニットに置き換え構成する模式化手法を用いることで,場所と場所が接する所である「中間領域」を明示することが可能となり,明示した中間領域に固定情報と可変情報の共通情報,個別情報を適用する地下街における歩行者系サイン配置システムの構築方法の提案に結びつけた。続きを見る
目次 目次  序章 研究の目的と構成  第1章 福岡市天神地下街(日本)におけるサイン類の分布特性と歩行特性  第2章 大田地下街(韓国)におけるサイン類の分布特性と歩行特性  第3章 地下空間における歩行者系サインの分布特性と歩行特性のまとめと配置システムのあり方  終章 研究のまとめ  謝辞  資料編

本文ファイル

pdf k079-01 pdf 226 KB 252 目次
pdf k079-02 pdf 1.12 MB 232 序章
pdf k079-03 pdf 4.00 MB 319 第1章
pdf k079-04 pdf 3.76 MB 233 第2章
pdf k079-05 pdf 2.41 MB 222 第3章
pdf k079-06 pdf 605 KB 200 終章
pdf k079-07 pdf 44.6 KB 172 謝辞
pdf k079-08 pdf 2.63 MB 216 資料編

詳細

レコードID
査読有無
報告番号
学位記番号
授与日(学位/助成/特許)
受理日
部局
所蔵場所
所在記号
登録日 2009.08.13
更新日 2020.10.06

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