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概要 |
本研究の目的は,既存の研究事例では予測精度と適用範囲を含めた報告としては見あたらない「周波数を考慮できる形式の地表面効果のエネルギーモデル」を検討し妥当性を明らかにすること,および従来の道路交通騒音予測では課題とされていた「高架裏面反射音のエネルギーモデル」を検討し妥当性を明らかにすることである。なお,これらの検討に用いる仮定や検討手法の妥当性を明確にするために,最初にいくつかの基礎的な検討を行...った。
第2章では,複数の伝搬経路からの合成音圧の絶対値の2乗値とエネルギー合成の関係を伝搬経路のインパルス応答と信号の自己相関関数で表現できることを示し,その結果を用いて2乗平均値がエネルギー合成で近似できる範囲について検討した。また帯域雑音を対象とした波動伝搬計算において必要となる計算周波数およびそのときの誤差について検討した。さらに従来はランダム位相点音源の集合として扱われていた面音源からの騒音伝搬について,面音源上の2点間に拡散音場の相互相関関数を仮定したときの騒音の伝搬特性について検討し,音源に近い位置では2点間の相関により誤差が大きくなることを数値解析により示した。
第3章では円筒波と球面波に対する障壁の挿入損失あるいは地表面効果について検討した。これは第6章の「高架裏面反射音のエネルギーモデル」においてモデルを検討する際に比較する波動解として2次元境界要素法の数値解析解を用いている。そこで2次元問題の基本解である円筒波と3次元問題の基本解である球面波に対する障壁の挿入損失および地表面効果がほぼ等しくなることを確認するために行った。また点音源,干渉性/非干渉性線音源の3ケースについて音源の違いがおよぼす影響についても考察した。
第4章では指向性点音源についての障壁の挿入損失について,従来の研究を踏まえてエネルギーモデルの妥当性および適用範囲を示した。また,指向性点音源による障壁周辺の位相分布とインテンシティベクトルの分布を数値計算により示し,障壁背後では音源の指向特性が複雑になると位相分布にはほとんど変化がないがインテンシティベクトルに変化が生じることを示した。なお得られた結果は,第5章「地表面効果のエネルギーモデル」での障壁が設置されたときの地表面効果(直接波と地表面反射波により見かけ上の指向性音源となる場合),および第6章「高架裏面反射音のエネルギーモデル」での境界エネルギー積分法によるエネルギー予測(cosθの指向性点音源に対する障壁の遮蔽効果)において使用した。
第6章では地表面効果のエネルギーモデルについて検討した。最初にインピーダンス境界上の波動解(厳密解と漸近解)について,既存の研究結果を踏まえて整理した。次に均一で平坦な地表面についての漸近解を観測点が音源に近い場合と十分離れた場合でエネルギー近似し,各々の近似が成り立つ範囲を明らかにした。その結果を用いて全空間で連続し,かつ周波数が考慮可能な地表面効果のエネルギーモデルを導き,漸近解と比較し妥当性を示した。また障壁が設置されたときの地表面効果についてもエネルギーモデルを検討し,妥当性を示すと共に適用範囲を明らかにした。さらに,模型実験によりグラスウール上の音圧レベルの過剰減衰(地表面効果に相当)を測定し,エネルギーモデルと比較することにより妥当性を示した。
第6章では,都市内の高架道路で最も多いⅠ桁高架道路あるいは箱桁高架道路の裏面での道路交通騒音の反射のエネルギー計算モデルを検討した。まず高架道路裏面での反射特性について,2次元境界要素法を用いて数値解析した。その結果と高架下に平坦で反射性が余弦則で近似できる反射面を想定したエネルギーモデルによる計算値と比較し,余弦則での反射特性の近似の妥当性を示した。また,従来用いられている鏡面反射を仮定したスリット法よりも予測精度がよいことを示した。この結果を踏まえ高架道路裏面を余弦則の反射指向特性を有する反射面と考えて,裏面と地面での多重反射音について境界エネルギー積分法を適用して計算し,実物道路での測定値と比較することにより妥当性を明らかにした。
第7章で,研究により得られた成果および今後の課題を述べた。続きを見る
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目次 |
目次
第1章 序論
第2章 音圧合成とエネルギー合成
第3章 線音源の干渉性/非干渉性が騒音伝搬におよぼす影響
第4章 指向性点音源に対する障壁の挿入損失
第5章 地表面効果のエネルギー計算モデル
第6章 高架裏面反射音のエネルギー計算モデル
第7章 総括
謝辞
付録A
付録B
付録C
付録D
付録E
参考文献
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