|
|
作成者 |
|
論文調査委員 |
|
|
|
本文言語 |
|
学位授与年度 |
|
学位授与大学 |
|
|
学位 |
|
学位種別 |
|
出版タイプ |
|
アクセス権 |
|
JaLC DOI |
|
概要 |
日常的にマルチメディア技術やネットワーク技術を利用することで,コミュニケーションや社会活動を効率良くしている今日のIT社会では,多くの生活領域においてコンピュータ操作の必要性が増している。アプリケーションソフトやデジタルコンテンツを利用できる者とできない者のデジタルデバイドの解消は社会的問題になっており、アイゲイズインタフェースは障害者の社会進出やコミュニケーションを促す「情報のバリアフリーツー...ル」として,ワープロ,電子メール,情報機器の操作を容易にすることが期待されている。特に,精神活動は正常であるが,ALS(筋萎縮性側索硬化症)などにより,全身の筋肉を自由に動かすことができない人でも,眼球運動は正常に行うことができる人が多い。本研究では,従来のWIMP(Windows,Icon,Menu,Pointer)オペレーティングシステムにアイゲイズインタフェースを適用する際に考慮しなければならないユーザのインタフェース特性を求め,アイゲイズインタフェースを用いたユーザインタフェースデザインの要件を明らかにすることを目的とする。
現状のアイゲイズインタフェースの応用例である,コミュニケーションツールである文字入力インタフェースについて,実験ツールを制作してユーザ評価を行った。実験ツールは,現在の画面上の文字入力用のソフトウェアで使用されている50音表示型と文字入力を2段階にわけ一度に表示する要素数を少なくすることを目的とした階層型の2種類の文字入力方法について制作した。また,画面上のレイアウトによる影響を考察するため,階層型文字入力に関して,横方向に配列した横配列型と画面中央を中心とした円配列型の2種類の文字入力実験を行った。ツールを用いた実験結果より以下のことが明らかになった。
・一つの文字ボタンの選択決定時間は階層型が50音表示型よりも短いが,文字入力のための作業時間では50音表示型が,階層型の文字入力方法よりも作業時間は短い。
・階層型は,サッケード運動によるジャンプの後,補正サッケードがアイコン内で収まるケースが多くミダスタッチが起こりにくい。
・階層型は配列が50音表示をもとにしており,要素数が少ないことにより,次に選択したい文字の位置が把握しやすい。
・横配列型と円配列型の作業時間において,一文字を選択・決定する時間については平均値からは有意差がみられなかった。
・階層型横配列においてはサッケード運動によるジャンプが大きいことにより,目的の位置の周辺で補正サッケードが頻繁に起きる。
・円配列においては,補正サッケードの発生は少ない。アイコンの配置が中心に集まっており,中心視に近い視角でアイコンを見ているため,文字の確認はできない程度であるが,アイコンがあることが横配列にくらべて把握しやすい。
既存のアイゲイズインタフェースは,文字入力の実験のように画面上のボタン選択の操作(本研究ではオンスクリーンコントロール・アイゲイズインタフェースと呼ぶ)がおもな使用方法であった。しかし,本来の視覚の役割とは,現前する実世界のもの見るための感覚であり,眼球はそのための感覚器官である。よって現前する実世界のオブジェクトを見るように仕組まれているのではないかと考える。実世界オブジェクトを対象にしたアイゲイズインタフェースのことを,リアルオブジェクトコントロール・アイゲイズインタフェースと呼ぶことにする。リアルオブジェクトを対象物として使用するアイゲイズインタフェースを提案し,プロトタイプシステムの制作とユーザ評価を行った。プロトタイプには照明のコントロールとCDプレーヤの機能を模したオーディオコントロールの2つを制作して,被験者に操作させ評価を行った。結果として被験者自然にはプロトタイプをコントロールすることができた。また,この評価結果より,リアルオブジェクトと,画面に表示されるオブジェクト画像の見方が違うのではないかと仮説を立て実験を行い,リアルオブジェクトとオブジェクト画像の見え方を比較した。リアルオブジェクトとオブジェクト画像の10秒間の視線移動の軌跡のプロット図と,平均移動距離を比較した表を用いた結果,仮説の範囲を越えるものではなかったが,リアルオブジェクトとオブジェクト画像の見え方に違いがあることが示唆された。
この結果から,これまでのオンスクリーンコントロールだけでなく実世界のオブジェクトを用いたリアルオブジェクトコントロール・アイゲイズインタフェースの有効性が示されたと考える。アイゲイズインタフェースが情報のバリアフリーツールとしてだけでなく,さらに生活環境を取り巻く製品なども含めたものを対象とするユーザインタフェースへと拡張されていくで可能性を示したものと確信する。続きを見る
|
目次 |
目次
第1章 研究の背景
第2章 予備的な調査と研究の動機
第3章 オンスクリーンコントロール・アイゲイズインタフェース
第4章 リアルオブジェクトコントロール・アイゲイズインタフェース
第5章 まとめ
謝辞
注記及び参考文献
参考資料集
|