<博士論文>
種々の温度条件下でのバイオフィルム形成とその除去技術

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概要 本論文は,食品やその製造装置・器具等に付着するバイオフィルム形成微生物を適切に制御する手法の提案を最終目的として,バイオフィルム形成に及ぼす温度の影響を明らかにするとともに,形成されたバイオフィルムを効果的に除去する次亜塩素酸ナトリウムの施用法について検討を行ったものである。まず,食品流通時にみられる温度変動がバイオフィルム形成に及ぼす影響について調査した。調査に際し,複数種の菌が混在することによ...る相互作用を確認するため,単独培養に加え,混合培養も行った。Staphylococcus aureusの単独培養の場合,低温下ではバイオフィルム形成は抑制され,その後一時的に高温に曝すことで活発化されることを見出した。一方,Pseudomonas putidaはS. aureusとは異なり,低温下でも活発にバイオフィルムが形成されるものの,一時的な高温曝露により低温下でのバイオフィルム形成が抑制されることを示した。両菌種を混合して貧栄養条件で培養した場合,高温下ではS. aureusとP. putidaの栄養源の競合が生じ,バイオフィルム形成が活発化するとともに,劣勢種とみられるS. aureusの脱離が促されるため,その菌数が減少することを明らかにした。また,低温下ではS. aureusの活動が抑制されるため,競合が生じなかったものの,一時的な高温曝露を経ることで低温に戻っても他の温度条件と同様の競合が生じ,バイオフィルム形成が活発化することを明らかにした。その際,S. aureus菌数の減少幅が高温を維持した時より小さくなることから,高温曝露後に温度を下げることでS. aureus の脱離が抑制され,バイオフィルム内のS. aureus菌数が維持されることを見出した。次に,P. putidaを用いた単独培養において,バイオフィルム形成に温度が与える影響についてより詳細な調査を行った。これにより,富栄養条件下では温度の上昇に伴いバイオフィルム付着量の最大値が減少すること,高温ではバイオフィルムが脱離するが,低温では脱離が起こらず,大量のバイオフィルムが付着を維持することを見出した。また,貧栄養条件下では,温度に関わらずバイオフィルムの脱離がみられるものの,栄養の制限によりバイオフィルム形成が抑制されるため,その脱離の規模が小さくなることを確認した。加えて,栄養を制限することでバイオフィルム形成に及ぼす温度の影響を軽減させ得ることを示した。さらに,バイオフィルムを形成したP. putidaに対する次亜塩素酸ナトリウムの最適調整条件を検討した。これにより,次亜塩素酸ナトリウム処理によるバイオフィルムの除去速度はpHの上昇に伴い増加することを見出すとともに,有効塩素濃度の上昇に伴いバイオフィルムの除去量がわずかに増加することを明らかにした。また,pHおよび有効塩素濃度に関わらず,次亜塩素酸ナトリウム処理後1分経過時にはバイオフィルム形成微生物に対する十分な殺菌効果が得られることを確認した。続きを見る
目次 CHAPTER 1: Introduction CHAPTER 2: Effect of temperature fluctuation on biofilm formation CHAPTER 3:Effect of temperature on biofilm formation CHAPTER 4: Effect of sodium hypochlorite treatment on bacteria forming bifoilm CHAPTER 5: Summary and conclusions

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登録日 2013.07.01
更新日 2023.12.08

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