<博士論文>
岩石の磁性を考慮した放射能探査法の活断層・斜面崩壊調査への活用

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概要 東日本大震災を契機に,より安全・安心を得られる地震や豪雨土砂災害の予測や評価が求められている。内陸地震の発生源である活断層の評価は原子力発電所立地などで重要になっている。また,豪雨土砂災害の中でも規模が大きい深層斜面崩壊は,一因として断層破砕帯の関与が指摘されているが,深層斜面崩壊の場所を予測することはきわめて困難である。これらの問題に対応できる新たな測定手法が望まれてきた。 本研究においては,活...断層の調査手法として放射能探査の問題点を検討した。一般に放射能探査は,測定方法や解析方法に曖昧な点があり,実際の断層位置から数m~数10mずれることが多く,物理探査手法としては概査段階の手法として位置付けされてきた。本研究では,従来の放射能探査の解析法及び解釈の見直しを行い,岩石の磁性を考慮した放射能探査法を新たに考案した。また,放射能探査手法の検討を全国84箇所で行い,地形と地質を考慮した測定条件規制を設けた場合,地質の異常帯(断層・破砕帯・変質帯)を検出できる可能性が高いことを示した。また,物性測定による地すべり面の検出手法も開発した。深層斜面崩壊に関しても崩壊場所を予測する新たな手法を考案した。以下に研究内容の概要をまとめた。 第1章では,本研究の背景と目的及び測定方法と条件についてまとめた。 第2章では,岩石の磁性を考慮した放射能探査について記述した。断層破砕帯において帯磁率異常が生じている。帯磁率をγ線遮蔽効果の指標としてγ線減衰実験を行なった結果,帯磁率が高いほどγ線吸収量が多くなる現象が認められた。断層破砕帯と非破砕部の帯磁率比が1.4~2.5である場合,断層破砕帯においてγ線が異常値として判別されることを明らかにした。帯磁率は,磁性鉱物の大きさ,磁性鉱物量の増減,磁性鉱物の風化・変質によって変化する。断層破砕帯では磁性鉱物の細粒化が認められることから,断層破砕帯におけるγ線量の減少は,細粒化による密度の増加によってγ線の遮蔽効果が顕著になった結果と考えられる。断層破砕帯におけるγ線は,断層物質の磁性特性によって変化し,非破砕部のγ線強度より高γ線や低γ線が検出されると結論づけた。 第3章では,放射能探査手法の検討について記述した。γ線測定で可能なことは地質分布の把握であるが,地質状況(岩種・風化状況)によりγ線強度が異なるため,これらの地質を把握した上でそのほかの地質情報(リニアメント・地質踏査結果等)を考慮することによって,破砕帯分布の精査が可能であることを示した。沖積層を切る活断層調査を事例として,地形・地質および測定条件(測点間隔等)次第でデータが異なることによって解釈が困難になっている状況を示し,γ線測定における測定条件規制を提案した。また,活断層調査で実施されたジオスライサーや自然放射能検層でのデータを基に,地質を考慮したγ線強度の解析により,断層が判別されることを示した。 第4章では,断層場幅の規則性についてまとめている。断層において帯磁率とγ線測定を行なった場合,断層活動による変形・破断の痕跡(断層ガウジ・断層角礫・断層岩・亀裂帯)において異常値が検出された。これらの断層における帯磁率とγ線の異常帯を断層場とした。地震断層を対象にγ線測定を行った場合,地震による破断で生じる断層場幅が10cm程度である。活断層トレンチ壁面では肉眼で断層変位が識別される箇所付近でγ線強度異常値を検出している。同一地質・測定条件のもとでγ線測定を行った場合,γ線強度は測定対象層固有の強度を示した。年代が異なる地層を対象にγ線測定を行った場合には,地層の年代が古いほど断層場幅が広くなる傾向があり,断層場幅の累積性が認められる。また,断層場幅が小さい断層ほど数が多く,断層場幅が大きい断層ほど少ない傾向があり, 断層場幅と断層数の間にべき乗関係が認められることを示している。この断層場幅の規則性を用いて現在から過去200万年(第四紀)に溯って活断層の発生数と発生時期を導いた。 第5章において,活断層調査での放射能探査の活用について述べている。まず,2008年の岩手・宮城内陸地震(M 7 .2)のように活断層長が不正確な場合や短い活断層の場合には,断層場幅を調べることによって活断層の活動度評価が可能であることを示した。断層場幅の規則性に基づいて,警固断層と並走する短い活断層(K-2断層)を対象に断層場幅を尺度とした活動度評価を行なった結果,K-2断層はC級活断層と結論づけた。 断層場幅の関係式から導かれる平均変位速度(活断層の活動度指標)を基準とした場合,現在抽出されている活断層数比および地表地震断層が出現した地震発生数比は,いずれもA級活断層:B級活断層:C級活断層=1:3:5であることを明らかにした。これより活断層存在度に関するC級活断層問題の解決には,活断層のセグメント区分を詳細に行ない,各セグメントの活動度の判定を行なったうえで, 活断層の活動度基準(平均変位速度)を見直すことが必要であるとしている。 第6章では,斜面崩壊調査での放射能探査の活用について述べた。ボーリングコアを利用し,断層や変質帯の調査手法であるγ線測定と帯磁率測定を地すべりブロック内のすべり面や未固結の堆積層内に存在するすべり面検出に適用させた。ボーリングコアのγ線測定結果より,すべり面と考えられるγ線異常値出現区間は地震地表断層の測定結果と同じく10cm程度であり,すべりで地盤が破砕された箇所(すべり面)のみに出現することを明らかにした。 大規模斜面崩壊後の地質調査によって,斜面頭部付近や斜面内に破砕帯の分布が記載されている事例が多い。本研究ではγ線測定によって,斜面崩壊の素因である破砕帯分布を崩壊前後に評価した。崩壊には規模の大小に関わらず破砕帯の存在が関係している場合が多いことが判った。断層破砕帯は一部粘土化等により遮水効果を持つが,断層破砕帯の端部にしばしば高透水部が存在するを明らかにした。断層を地下水の通路と想定し,導水トンネル的なものと考えると,断層場幅が広く断層長が長いほど集水面積が大きく地下水が豊富と推定される。この豊富な地下水の影響により,大断層(断層場幅20m以上)近傍ほど深層風化帯を形成しやすく,深層崩壊が生じやすい場所であることを示した。 第7章では,本論文の総括として各章の結果をまとめた。続きを見る
目次 第1章 序論 第2章 岩石の磁性を考慮した放射能探査法 第3章 放射能探査手法の検討 第4章 断層場幅の規則性 第5章 活断層調査での放射能探査の活用 第6章 斜面崩壊調査での放射能探査の活用 第7章 まとめ

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登録日 2013.07.10
更新日 2020.10.09

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