<博士論文>
課題場面の自己制御に関わる情動活性化に関する発達臨床心理学的研究

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概要 本稿では,「設定された目標に向かって,それに対応することが求められるような課題場面」において,幼い子どもや思春期・青年期の発達障害者を,目標に応じた適応行動に導くための支援のあり方について,その自己制御に関わる主体の認知と情動との関係性から検討することを試みている。Ⅰ部では幼児を対象に鋏による手指の動作課題を用いた。1章では幼児の動作スキルに関するこれまでの研究を概観した上で,動作課題における認知...的側面の問題をとりあげた。そこで2章では鋏操作課題において年少児にはどのような自己制御不全がみられるのかを,年中児,年長児との比較により検討した。その結果,年少児は特に基準線に合わせて切り止められずに切り過ぎるとい逸脱が多かった。そのような制御不全には動きの問題だけでなく,課題理解の問題が関わるという仮説を検証するために,3章では年少児クラス(3:5~4:4,M=3:11)と2歳児クラス(2:5~3:5 M=3:0)を対象にして,実際に正反応のモデルを示すという教示詳述化群と,同じ言語教示のみの教示一定群での比較を行った。それにより年少児クラスは教示詳述化群において「停止目標ライン」で正確に切り止めるという正反応が大幅に増加した。一方2歳児クラスでは,ある程度理解が高まったものの,正反応には至らなかった。しかしながら4章で課題材料の黒線(停止目標ライン)の上にパンダの顔を描いた条件や,赤で色分けした条件を加えたところ,3歳前後(2:5~3:5,M=2:11)の幼い子どもであっても半数の子どもが正確に切り止めることができていた。このように成績が高まったのは,動物の絵や赤という色が子どもの日常の文脈から意味のある課題として関心を引きつけるものであり,それによって正確に止めるという目標についての認知も高められたのではないかと考えられる。以上の結果から,課題目標に向かって年長児クラスは言語教示のみで正反応に至るが,年少児クラスは視覚的なモデルが必要であり,さらに低年齢であれば,まずは子どもの関心を引きつけることが重要であるという,課題理解水準の段階が示された。Ⅱ部では思春期・青年期のグループ・アプローチにより,まず6章で発達障害者にみられる対人交流場面での自己制御不全の有様をとらえた。その中で他者の気持ちを思いやることが期待される場面や,相互交流によるやりとりの展開が期待される場面にあっても,独自の思い入れや部分的なことへの興味・関心の強さから,その場にいる相手の気持ちや意図に応じることの困難さが認められた。7章では集団ゲームやロール・プレイングの技法により,仲間とともに楽しむ体験やスタッフに補助自我的に支えられながら様々な役割体験を重ねる中で,他者への関心が高まるとともにそこで期待されていることへの気づきも高められ,グループ・ワークで,その場に応じた役割演技や自己主張が認められるようになった。そのようなグループでの効果が年数を経る中で当事者にも評価されていることが8章に示したアンケート調査で確認された。また9章では年齢に応じた仲間との関わりが困難であった中学生の事例を取り上げ,2年半にわたる経過を通してグループでの対人交流の発展が日常生活にも般化されていることが確認された。これらのことから,場に応じた自己制御を高めるにあたって,まずはそこに向かう主体の関心を高めるような情動体験が必要であると考えられた。Ⅲ部ではⅠ部とⅡ部に共通する自己制御における認知と情動の関係について、情動活性化によって認知機能も高められ,場に応じた自己制御が可能になることをモデル図で示した。続きを見る
目次 序章 第Ⅰ部 幼児の動作スキルと課題理解の関係性 : 実験研究より 第Ⅱ部 思春期・青年期発達障害の対人交流場面における自己制御の発達とその支援 : グループ・アプローチより 第Ⅲ部 総括

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登録日 2013.07.02
更新日 2023.11.21

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