<博士論文>
弾性流体潤滑におけるキャビテーションに関する研究

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論文調査委員
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概要 流体潤滑膜に発生するキャビテーションは,潤滑油の蒸発現象,または溶解気体の析出現象であり,エロージョン,潤滑膜の破断,摩擦係数,シールの密封性能などに影響を与えることが知られている.しかし,キャビテーションの特性と雰囲気の関係は十分に解明されていない.様々な雰囲気条件下で作動する機械を効率的に設計し信頼性を向上させるためには,雰囲気の影響を明らかにすることが必要不可欠である.本論文は,弾性流体潤滑...(EHL)膜に形成される気体性キャビテーションの成長に及ぼす雰囲気の影響を調べ,その機構を探求したものである.第1章では,本論文で取り上げた課題の背景,および,本論文の目的と構成を述べた.第2章では,実験によりキャビティーの成長を観察した結果を示し,雰囲気,および,運転条件のキャビティー成長に与える影響を述べた.観察から,キャビティーの成長は2つの段階で起こり,キャビティーの発生直後は急速に拡大すること,その後は成長速度が低下し長さが徐々に増加することを示した.この成長過程を順にInitial stage,Second stageと名づけた.次に,各成長段階への雰囲気や運転条件の影響を詳細に調べ,以下のことを明らかにした.第一に,雰囲気気体はInitial stageにおけるキャビティー成長に影響を与えず,一方Second stageにおける成長では潤滑油への溶解度の高い気体ほどキャビティーが長くなる.第二に,滑り速度と潤滑油粘度は,両段階での成長に影響を与える.滑り速度が大きいほどInitial stageにおける成長速度が大きく, Second stageにおいてキャビティーが長くなる.また潤滑油の粘度が高いほど, Initial stageでのキャビティーの成長時間と成長後の長さが大きくなり,Second stageでのキャビティーが長くなる.第三に,粘度が同一の場合,雰囲気温度はInitial stageにおける成長に影響を与えず, Second stageでは温度によってキャビティー長さが変化し,これは気体の溶解度の温度変化と相関がある.第四に,雰囲気圧力が低いほどInitial stageにおける成長時間は長く成長後の長さは大きくなり,雰囲気圧力が高いほどSecond stageにおける成長速度が大きい.第五に,表面張力はInitial stageにおける成長に影響を与えず,一方Second stageでは表面張力が低い潤滑油においてキャビティーが長くなる.第3章では,第2章の結果に基づいて,キャビティー成長のモデルを検討した.Initial stageのキャビティー成長モデルは,接触域後方に発生する負圧領域の計算と分子動力学法を用いた計算により検討した.その結果,キャビティーの成長は接触域後方に発生する負圧領域と関係することを示した.滑り速度,潤滑油粘度,雰囲気圧力は,圧力分布に影響を及ぼすため,この段階でのキャビティー成長に影響する. Second stageのキャビティー成長モデルは,キャビティー内への溶解気体の放散に着目して検討した.潤滑油とキャビティーの界面に二重境膜モデルを適用し,溶解気体のキャビティー内への放散量からキャビティーの成長を求めた.その結果,計算されたキャビティー長さは,実験結果とよく一致することを示した.滑り速度,潤滑油粘度,雰囲気気体,雰囲気温度,雰囲気圧力は,キャビティー内への気体の放散量に影響を及ぼすため,この段階でのキャビティー成長に影響する.また,表面張力も,放散が起こった後のキャビティーの拡大に影響を与える.第4章では,3つの応用場面におけるキャビティーを調べ,第3章で得られた成長モデルに基づいて考察した.第一に,グリース潤滑下においてもキャビティーの成長は2段階の過程で起こり,各段階における成長は,第3章に示したモデルによって理解することができるが,グリースの見かけ粘度のせん断率依存性,増ちょう剤の分散状態の影響,グリース中の溶解気体量を考慮しなければならないことを示した.第二に,往復動EHL膜におけるキャビティーの成長と消滅を調べ,ストローク長さによってキャビティーの成長と消滅の挙動が異なることを示し,これはストローク長さによってキャビティーの成長段階とキャビティー内圧力が異なるためであることを明らかにした.第三に,2つの点接触部が潤滑油の流れ方向に直列に配置された場合のキャビティーを観察した結果,前方接触部で発生したキャビティーが後方の接触部まで成長し,滑り速度が大きい条件では後方の接触部への油量不足を引き起こすことを示した.第5章では,本論文の総括と今後の課題について述べた.以上,本論文では,様々な雰囲気においてEHL膜に形成されるキャビティーの観察を行い,その成長を調べることによって,キャビティーの成長モデルとその成長に及ぼす雰囲気の影響を明らかにした.続きを見る
目次 第1章 緒言 第2章 キャビティー成長の観察 第3章 キャビティ―成長のモデル 第4章 キャビティ―成長のモデルの応用 第5章 結言

本文ファイル

eng2073_1-2 pdf 5.67 MB 7,877 本文1
eng2073_3 pdf 8.26 MB 2,416 本文2
eng2073_4-5 pdf 1.94 MB 1,041 本文3
eng2073_abstract pdf 124 KB 450 要旨

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報告番号
学位記番号
授与日(学位/助成/特許)
受理日
部局
注記
登録日 2013.07.10
更新日 2020.10.09

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