<博士論文>
療養型医療施設・高齢者施設の入所高齢者の口腔内に認められる真菌種の分布についての検討

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概要 近年、微生物群集から直接抽出したDNAを解析する手法の開発により、口腔常在フローラの構成と宿主の健康状態との関連が徐々に明らかにされてきている。一方で真菌類の分布には、特に高齢者において、未だ不明な点が多い。本研究では、真菌のinternal transcribed spacer(ITS)領域を利用した網羅的真菌解析系を用いて高齢者の口腔における真菌種分布の解明を目指した。さらにその構成と健康状態...との関連について検討を行った。対象は療養型医療施設および高齢者施設長期入所者291名(85.7±7.4歳)とした。採取した舌苔から抽出したDNAを用いて含まれる総真菌量を測定したのち、真菌群集の構成の特定を行った。総真菌量の測定にはITS1領域を利用した定量PCR法を用い、真菌種構成の把握はITS1–5.8S–ITS2領域を利用したlength heterogeneity PCR法と各断片の塩基配列の決定により行った。解析を行った291名のうち128名で舌苔検体あたり104CFU以上の真菌が検出され、そのうち35名では105CFU以上認められた。104CFU以上の真菌が認められた128名について構成菌種を同定した結果、最も高頻度で検出されたのはCandida albicans(105名;82.0%)であり、続いてCandida dublinensis(78名;60.9%)、Malassezia restricta(57名;44.5%)、Candida tropicalis(45名;35.1%)、Candida glabrata(26名;20.3%)などが多くの被験者で認められた。舌苔採取の前後約6か月からなる1年間の観察期間おける1週間以上の発熱の有無と真菌分布との関係について統計学的に検討したところ、総真菌数が105CFU以上と真菌の過増殖が起きている被験者では、C.albicans以外の真菌が検出される場合、特にC.glabrataやC.tropicalisが検出される場合に発熱との関連が認められた。このような関連は舌苔の湿潤度、義歯の使用、生活活動動作、認知機能障害、嚥下障害、抗生剤の使用といった発熱関連因子を多変量ロジスティック回帰分析にて調整した際にも有意であった。本研究により高齢者の口腔内の真菌種の分布が明らかになり、さらにその構成と宿主の健康状態との関連性が示唆された。続きを見る
目次 要旨 背景 対象および方法 結果 考察 総括 謝辞 参考文献

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登録日 2013.07.10
更新日 2023.11.21

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