<博士論文>
ピオグリタゾンによるウサギ静脈グラフトモデル内膜肥厚抑制効果の検討

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概要 背景 : バイパス術後の静脈グラフト閉塞の主な原因は静脈グラフトの内膜肥厚である。いくつかの臨床試験でProxisome Proliferator-Activated Receptor-γ(PPAR-γ)のリガンドであるピオグリタゾンが心血管保護作用を有することが報告されている。我々は今回、ウサギ静脈グラフトモデルを用いてピオグリタゾンによる静脈グラフト内膜肥厚抑制効果について検討した。
方法 : ...日本白色種のウサギをピオグリタゾン投与群と対照群の2群に分けた。ピオグリタゾンは混餌投与とし、バイパス手術1週前より開始し、グラフト採取まで継続した。バイパス手術は右外頸静脈を約2cm採取し、右総頸動脈にバイパスを行った。術後28日目に内膜肥厚を評価した。術後14日目に免疫染色を行い、Ki-67染色で細胞増殖を、terminal deoxynucleotidyl tranferase-mediated deoxyuride-5'-triphosphate nick-end labeling (TUNEL)染色でアポトーシスを評価した。血液を術後28日目に採取し、血糖、コレステロール、中性脂肪について検討した。血中アディポネクチンレベルはウエスタンブロットにて評価した。最後に術後14日目のグラフトでアディポネクチンに関与するシグナル、5'adenosine monophosphate-activated protein kinase (AMPK)、extracellular signal-regulated kinase (ERK)活性についてウエスタンブロットで検討した。
結果 : ピオグリタゾン投与群で静脈グラフトの内膜肥厚が有意に抑制された (ピオグリタゾン投与群 : 0.54±0.04mm^2、対照群 : 0.93±0.04mm^2、P<0.01)。ピオグリタゾン投与群でKi-67陽性細胞が有意に減少した (ピオグリタゾン投与群 : 4.1±1.1%、対照群 : 16.8±1.7%、P<0.05)。TUNEL陽性細胞はピオグリタゾン投与群で有意に増加した (ピオグリタゾン投与群 : 3.5±0.5%、対照群 : 1.2±0.1%、P<0.05)。ピオグリタゾン投与により血糖値、脂質に影響を与えなかった。ピオグリタゾン投与群で血中アディポネクチンは増加し、静脈グラフトのAMPKリン酸化が促進され、ERKリン酸化が抑制された。
結論 : ピオグリタゾン投与により静脈グラフトの内膜肥厚抑制効果を認め、細胞増殖の抑制とアポトーシスの亢進を伴っていた。その機序の一つとしてアディポネクチンの増加との関連が示唆された。ピオグリタゾンはバイパス術後の静脈グラフト閉塞を予防する治療法のターゲットとなる可能性が示唆された。
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目次 要旨 背景 方法 結果 考察 結論 参考文献

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登録日 2013.07.12
更新日 2023.11.21

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