<博士論文>
癌の増殖・浸潤におけるカテプシンEおよびRANKL-RANKシグナル伝達系の役割

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概要 本研究は癌の増殖・浸潤機構におけるカテプシンE およびRANKL-RANK シグナルの役割について追究したもので2つの章からなる。第1章では、アスパラギン酸プロテアーゼの一つであるカテプシンE の癌細胞における役割をヒト前立腺癌ALVA101 細胞を用いて解析した。ヒトカテプシンE 遺伝子をALVA101 細胞に導入した際の性状変化を調べた結果、in vitro での細胞系では、導入細胞と導入して...いない細胞の間に増殖能に差異が認められないものの、それらをヌードマウスの皮下に移植したin vivo の条件下では、カテプシンE 遺伝子を導入した癌細胞の方が有意に増殖が抑制された。抗体アレイ解析から、カテプシンE 遺伝子を導入した癌細胞から成る腫瘍は、mock 導入癌細胞から成る腫瘍に比べて、エンドスタチンを含む各種血管新生抑制分子が増加していることが示された。エンドスタチンはタイプXVIII コラーゲンから産生される強力な内在性血管新生抑制因子で、カテプシンE はタイプXVIII コラーゲンから特異的にエンドスタチンを産生することがin vitro 系で証明された。組織学的には、カテプシンE 遺伝子導入癌細胞から成る腫瘍は分葉状の形態を呈しており、その周囲には肥厚した皮膚および皮下組織と発達した線維性被膜が顕著であり、これらによって腫瘍の増大が抑制されている様子が伺えた。また、腫瘍周辺部にマクロファージの浸潤増加と活性化亢進が認められた。さらにカテプシンE 遺伝子導入癌細胞は、対照細胞に比べてマクロファージの遊走を強く誘導することがわかった。以上の結果から、癌細胞に発現させたカテプシンE は、血管新生抑制と宿主免疫応答増強によって腫瘍増殖を抑制することがわかった。第2章では、口腔扁平上皮癌細胞の顎骨浸潤とRANKL-RANK シグナルシステムとの関連を検討した。口腔扁平上皮癌は舌や歯肉に好発するだけでなく、口腔底、口唇や口蓋にも発生し、進行すると顎骨へ浸潤することが多く、顎骨浸潤はその予後を規定する重要な因子となっている。口腔癌の顎骨浸潤の病理組織像を見ると、顎骨破壊部の最前線には多数の破骨細胞が存在し、活発に骨を吸収している像が見えることから、癌細胞が破骨細胞の活性化を誘導することで顎骨を吸収し、さらに深部へと浸潤することが示唆される。そこで、破骨細胞形成因子であるreceptor activator of NF-κB ligand (RANKL)とその受容体RANKからなるRANKL-RANKシステムと口腔扁平上皮癌による顎骨浸潤との関連を検討した。口腔扁平上皮癌患者の腫瘍組織はRANK を発現しており、さらにヒト口腔扁平上皮癌細胞株BHY 細胞とB88 細胞はRANK を発現し、これらの細胞をRANKL で刺激するとRANK の下流シグナルであるNF-κB やERK の活性化が認められた。in vitro においてRANKL がB88 細胞の遊走能を亢進し、この作用はRANKL とRANK の結合を妨げるデコイ受容体osteoprotegerin (OPG)を添加することで抑制された。さらに、ヌードマウスの咬筋にB88 細胞を移植すると腫瘍の増大に伴って顎骨に腫瘍細胞が浸潤したが、OPG の局所投与によりB88 細胞の顎骨浸潤が抑制された。これらの結果から、OPG の口腔扁平上皮癌顎骨浸潤の治療薬としての有用性が示唆された。続きを見る

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登録日 2013.07.09
更新日 2020.10.09

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