<博士論文>
我が国における中等建築教育の確立に関する基礎的研究 : 大正末、昭和初期の文部省内と建築学会の検討活動を通じて

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指導教員等
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概要 本研究は我が国の建築教育、特に中等教育がどのような過程で確立したかを明らかにするもので、その対象を大正末に行われた文部省内の建築教育に係る委員会と昭和初期に建築学会内に設置された「実業学校程度ノ標準教科書」編纂委員会の審議(過程と内容)に求め、ここでの議論(調査を含む)をとおして、個別科目の実態でなく、総体としての建築教育に求められる姿を明らかにするものである。第1章では、研究の目的と方法を示し、...研究の独自性を説明するだけでなく、技術の発展と社会の変貌が、必然的に新しい教育システムを要求し、これが技術の普及であるとの見解を示した。第2章では、社会の要請に応えるためには先端技術は一般化する必要がある。本章では明治の初期から末に至るまに刊行された代表的な書籍を取り上げ、その発刊の意図を導き出した。研究目的は、文部省と建築学会内で総括的に取り組まれた建築教育のあり方が検討される前の状況を明らかにすることにある。第3章では、今日と異なる教育体制が、明治期から誕生していたことを踏まえて、義務教育以降の職業教育を中心とする学校制度の実態を明らかにした。そして本章の統計資料の分析によれば、実際のところは実務中心の教育が数の上では絶対的多数を占め、この実務教育の需要からも一定のレベルの教育を教授する方法(標準教授要綱や教科書)の整備が焦眉の急であったといえる。また、生徒数の絶対的な増加により、実業学校の改正が行われ、教員資格が、当初の「学士」レベルに加え「検定試験」合格者を含むことを明らかになった。この結果は、誰が何処でも何時でも一定の教育を教授できる教科書及び標準教授要綱の存在を必然としたことを指摘した。第4章では、建築学会が教科書(案)編纂作業に取り組む前の時点での文部省内で検討された実業教育の具体的内容を明らかにした。実業学校は、本来設置される地域条件と連携して産業・経済条件に貢献することが目的であった(明治32年の実業学校令)。しかしながら、余りにも区々な教育システムは、効率性と新しい知識の教授に不都合を生じ、根本的な見直しが行われた。これが、大正9年の実業学校令の改正であり、建築教育について言及すれば、職業教育から技術者に変貌した時期に一致する。本章では、文部省内の委員会の活動と文献資料を通じて、それまでの工業学校規程類の変遷から、建築学における様々な科目名が集約され、今日の科目につながる過程も明らかにした。第5章では、学理追求機関である建築学会が、実業学校程度の教科書を刊行するために編纂委員会を設置した背景とそのカリキュラムの内容と確立過程を明らかにした。建築学会が中等建築教育の改善に関与した功績は、以下のようにまとめられる。・委員会の作業をとおして多大な分野に及ぶ建築教育のコンセンサスが得られた。・この時期に建築学の基礎(科目の種類とそれぞれの内容)が学会関係者の合意のもとに確立された。・学会での審議は、中等教育における建築教育の対象を技能者(クラフトマン)から技術者(フォアマン)、別の言い方をすれば、木工科から建築科への変化を確実なものにした。第6章では、建築学会が編纂した「標準教科書」の内容に準拠した書籍の発刊状況と内容及び著者について明らかにした。発刊の時期は学会が案を建築雑誌に発表した翌年の昭和5年から始まるが、これらを紹介している「図書紹介」では、昭和13年まで存在していた。また、建築学会の教科書案に準拠したとの説明以外に、実業(工業)学校卒業検定試験、(実業)工業学校教員検定試験問題を例題としたものがあり、教科書の機能だけでなく受験参考書の役割も持たされていた。資格化と教育の関係はこの時代から始まっていた。最後に、本研究の成果を今日の建築教育と関連付ける。・総合的視点からの建築教育建築学会が提案した標準教科書は、実業学校を前提としているために、時間数において普通・専門科目のバランス、枠の決められた中での各専門科目の配置(開設時期と開設時問)を前提としていた。したがって個々の科目の内容のみならず、所謂ソフトからハードに及ぶ多様な建築専門分野を等しい尺度で計り、各科目のあり方を捉えた点・姿勢は参考にされるべきであろう。現在、建築士の受験資格要件で教育の見直しが迫っており、この際、本研究で扱ったように、少なくとも我が国の建築教育は如何にあるべきかという高所からの視点が求められる。・最新技術の普及化技術は一般化することにより社会貢献できる。この命題は建築においても然りといえる。本研究知見は、高等建築学あるいは技術を如何に中等レベルへ移行させるかが関係し、「高度な内容を平易に教授する」に集約できる。今後どのような展開、換言すれば、複雑化した建築学全体を俯瞰し、建築教育のレベルをきちんと体系化する必要がある。その体系の中から、中等・高等教育機関が教授すべき科目とその内容を整備するべきであろうと考える。
This study attempts to clarify the processes that have been established in Japan for architectural education, and clarifies the overall format demanded by architecture (academically) rather than the actual state of the individual subject, by referring to the discussion (including investigation) undertaken during the deliberations (the process and content) of the editorial committee of the "standard textbooks for industrial schools" that was established within the committee overseeing architecture education in the Ministry of Education at the end of the Taisho era and Architectural Institute of Japan at the beginning of the Showa era. Chapter 1 reports the aims and methods of this study, describes the uniqueness of the study as well as the inevitability of a new education system as demanded by technological developments and social transformations, and presents an overview of the spread of this technology. Chapter 2 presents the need to generalize cutting edge technology to respond to the demands of society. Typical textbooks published from the beginning to the end of the Meiji era are examined, and the intentions for the publication of these books are elicited. The analysis of statistical material presented in Chapter 3 shows that practical-based education numerically holds the absolute majority in practice, and demonstrates the urgent need for reform of the methods for teaching at a fixed level of education even from the demands of this practical-based education. Chapter 4 summarizes the various subject names in architecture through the activities of reference material of committees in the Ministry of Education from the changes in the industrial schools regulations up to then, and clarifies the processes in relation to current subjects. Chapter 5 clarifies the content of the deliberations and specific specialist subjects. (corresponding to the detailed table of contents of the standard textbooks) Chapter 6 clarifies the publication status, content and authors of books that conform to the content of the "standard textbooks" compiled by the Architectural Institute of Japan. Finally, the results of this research are related to current architectural education. The standard textbooks proposed by the Architectural Institute of Japan are assumed to be used in industrial schools, and therefore, have the prerequisite of arranging (duration and timing) each subject within a predetermined framework that balances general and specialist subjects in terms of time. It is therefore necessary to plan for equal measures of not only each individual subject but also the various architectural specialist fields ranging from the so-called soft subjects to hard subjects, and to reference the point and format of understanding the existence of each subject.
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appendix pdf 952 KB 527 付録
acknowledgement pdf 156 KB 235 謝辞
chapter7 pdf 221 KB 233 第7章 終章
chapter6 pdf 401 KB 528 第6章 標準教科書に準拠した建築教科書の出版状況
chapter5 pdf 728 KB 411 第5章 建築学会における中等建築教育の検討
chapter4 pdf 0.99 MB 434 第4章 文部省における建築実業教育の検討
chapter3 pdf 748 KB 1,547 第3章 中等実業教育の流れ
chapter2 pdf 542 KB 1,537 第2章 建築教育における教科書(とその役割)
chapter1 pdf 396 KB 349 第1章 研究の目的及び背景
contents pdf 177 KB 386 目次
title pdf 103 KB 196 中表紙
cover pdf 90.8 KB 180 表紙

詳細

レコードID
査読有無
報告番号
学位記番号
授与日(学位/助成/特許)
部局
登録日 2013.07.10
更新日 2020.10.09

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