<博士論文>
ディジタル図形の相似及びアフィン不変認識に関する研究

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論文調査委員
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概要 近年における半導体技術の進歩はめざましく、ムーアの法則としてよく知られているように指数関数的な進歩を続けている。半導体技術を基本とした計算機の処理能力も向上し続けており、その応用分野も拡大している。
このような分野の重要な一つとして、人間の持つ様々な認識能力を機械的に実現しようとする研究も着実に進んでいる。計算機システムによる画像認識もその一つであり、これに関して多くの研究が行われてはいるが、まだ、...人問の持つ認識能力には遥かに及ばず、今後も史なる研究が必要である。
計算機を用いて画像認識を行う場合、対象となる画像はディジタル画像であり点の集合とみなすことができる。このような画像は、そのデータ量が膨大であるため、計算機で認識を行う際には処理時間の増大といった点が問題となる。このようなデータ量を削除するために、画像の輪郭線情報がしばしば用いられており、また、一定の規則で図形を構成する点を間引くことも行われている。
しかしながら図形認識に関する困難な問題が、図形を輪郭線情報に変換することによって、一般に解決されることは勿論なく、またどのような点を削除してよいかということ自体も困難な問題である。従って本質的には、与えられた点の集合(ディジタル図形)に対して、効率の良い計算(処理)アルゴリズムを案出して、図形の不変認識を実現する方法を見出す必要がある。従来しばしば用いられてきた方法、たとえば、曲率関数法、フーリエ記述子法、モーメント不変量法などでは、図形を構成する点の“つながり具合(つながりの順序)"に関する情報が必要である。しかしながらこれらの情報を附加することは一般にはむずかしく、しかもこれらの方法の適用できる図形(曲線)は単連結の場合にかぎられている。この連結性に関する情報を必要としない計 算法を見出すこと、及びその計算量の削除を図ることはディジタル図形認識においてきわめて重要である。
本論文では、「自己距離関数」および「自己三角形関数」という、新たな概念を用いた、点と点のつながり具合に関する情報を一切必要とせず、しかも単純な距離の計算及び面積の計算にもとづくディジタル図形の認識方法を提案する。本論文は次に示す6つの章から構成されており、本研究における認識方法や本方法を用いた実験結果をまとめたものである。
第1章では、まず研究を行うに至る背景と扱う問題について述べ、次いで本論文の概要について述べる。第2章では、基礎理論として、パターン認識における不変認識とその特徴について述べる。次いで、一般的によく用いられている輪郭線の記述法および、距離の定義やディジタル図形を取り扱う場合の諸問題について述べる。
第3章では、自己距離関数を用いてシフト・回転・スケーリングに対して不変な図形認識法について提案する。自己距離関数法は、ディジタル図形を点の集合と定義した上で、ディジタル図形を構成する全ての点の、2点の組み合わせをとり、その2点を両端とする直線の長さのヒストグラムをもとにしている。このため、点の順序やつながり具合に関する情報は一切捨象されるので、点のつながり具合に関する情報は不要である。したがって、従来困難であった非単連結曲線にも適用できるという特長がある。この自己距離関数をベクトル化した自己距離ベクトルを用いて認識実験を行い、良好な認識結果が得られることを述べる。
第4章では、自己三角形関数を用いて、アフィン不変な図形認識法を提案する。図形のアフィン不変認識はその重要性にも関わらず、これまで有効な方法が見出されていなかった。本方法は、前章の自己距離関数を用いた方法と同様に、非単連結な曲線に対しても適用可能である。自己三角形関数は、ディジタル図形を構成する全ての点の、3点の組み合わせをとり、その3点を項点とする三角形の面積のヒストグラムをもとにしている。2つの三角形の面積の比はアフィン変換の下で不変であるので、自己三角形関数はアフィン不変となることが容易に示される。自己三角形関数は、前章の自己距離関数における2点間の直線の距離を、3点から構成される三角形の面積に置き換えたものである。この自己三角形関数をベクトル化した自己三角形ベクトルを用いた認識実験を行い、良好な認識結果が得られることを述べる。
第5章では、第3章の発展として、多値画像の相似不変認識を提案する。この方法では図形を表す点は、点のグレイレベルを表現する第3番目の座標と考えた3次元空間中の点として記述される。この3番目の軸のスケールの単位と、画素(点)の位置を示す座標軸のスケールをどのように決めるかが重要な問題となる。これを実験によって求め、本方法が多値図形の認識にも有用であることを述べる。
最後に、第6章では、本研究において得られた結果のまとめと今後の課題について述べる。
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目次 目次
第1章 序論
第2章 不変認識とディジタル図形の輪郭線記述
第3章 自己距離関数を用いた相似不変認識
第4章 自己三角形関数を用いたアフィン不変認識
第5章 多値画像における相似不変認識
第6章 結論
参考文献
図目次
表目次

本文ファイル

pdf k050-01 pdf 169 KB 232 目次
pdf k050-02 pdf 989 KB 204 第1章
pdf k050-03 pdf 3.30 MB 251 第2章
pdf k050-04 pdf 1.77 MB 216 第3章
pdf k050-05 pdf 1.93 MB 188 第4章
pdf k050-06 pdf 916 KB 180 第5章
pdf k050-07 pdf 202 KB 163 第6章
pdf k050-08 pdf 875 KB 289 参考文献
pdf k050-09 pdf 205 KB 200 図目次
pdf k050-10 pdf 56.7 KB 150 表目次

詳細

レコードID
査読有無
学位記番号
授与日(学位/助成/特許)
受理日
部局
所蔵場所
所在記号
登録日 2014.01.24
更新日 2020.10.06

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