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概要 |
学校教育の中で、中学校においては、家庭科教育の保育領域の学習として、あるいは進路学習のひとつとして、または総合学習として、乳幼児とふれあう機会が増えてきている。高等学校においても、保育や介護の体験学習が展開されている。それらの活動の中で、確かに生徒たちは教室では見せない、生き生きとした表情を見せてくれる。しかし、それらの体験学習の目的や効果は、豊かな心の育成等といった言葉で語られることが多く、実際...に生徒たちの何が変化したのかは明確になってはいない。今回、最近増えてきた育児不安や幼児虐待の背景に、親になる前の乳幼児とのふれあいの経験の不足があると考え、若い世代の子育て体験について見直した結果、乳幼児とのふれあいの経験が親準備性の醸成をうながすということは、先行研究の一致した見解であることが明らかになった。次に、思春期にある男女の乳幼児に対する感情は、子どもとの接触経験や親準備教育によって好転するといわれており、厚生省が行った赤ちゃんふれあい体験学習においてもその効果が認められたという報告(清水ら,2000)から、赤ちゃんふれあい体験学習が、親になる前の乳児とのふれあいの経験の不足を補うものであると考え、体験学習前後の子育てに対する意識の変化について明らかにすることを目的に調査した。まず、少なくなっているといわれている乳幼児とのふれあいが、中学生においても減少しているのか予備調査を行い、第1研究で、清水ら(2000)が行った赤ちゃんふれあい体験学習と同様の効果が、学校教育の場面で行われる乳幼児ふれあい体験学習でも認められるかどうか比較検討した。さらに第1研究で体験学習以前に、すでに乳幼児との接触経験がある生徒とそうでない生徒では、子育てのイメージの変化にどのような違いがあるのか比較検討した。その結果、中学生の乳幼児とのふれあい体験学習において、体験学習の前後で、乳幼児イメージが具体的になり、親の育児責任を認識するようになったことが明らかになった。さらに、体験学習以前にすでに乳幼児とふれあい経験がある群と、経験が乏しい群では変化が異なり、乏しい群では、乳幼児イメージが具体的になり、経験がある群では、親の育児責任を強く認識するような変化が認められた。続きを見る
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