<紀要論文>
小規模事業所で働く婦人の健康に関する調査研究(2) : 健康状態のパターン分類とその関連要因の検討

作成者
本文言語
出版者
発行日
収録物名
開始ページ
終了ページ
出版タイプ
アクセス権
JaLC DOI
関連DOI
関連URI
関連情報
概要 小規模商工業に従事する婦人を対象に,健康状態のパターン分類とその関連要因について分析を試みた。結果の要約をすれば以下のようになろう。1.健康状態の把握を愁訴率の算出により行ったが,「自由時間が十分とれない」や「肩や首がこる」など愁訴率の高い項目と「人づきあいがうまくいかない」や「会話が聞きとれない」,「腹痛をおこすことがある」など愁訴率の低い項目が明らかになった。2.項目別数値によって3次元空間に...おける項目の分布の仕方を考察したが,判別のウエイトを示す個有値は低くはなかったものの,各軸の意味を推定するには至らなかった。なお,数値の正負のみに基づいて分類すると6つの型に分かれたが,実質的には3つの型になった。3.原点からの距離を求めることにより,原点に近い一般的項目(「肩や首がこる」,「めまいや立ちくらむことがある」など)と原点から遠い特殊的項目(「歯ぐきから出血することがある」,「排便が不規則になることがある」など)を明らかにすることができた。4.項目間の距離とこれに基づくクラスター分析により,各項目の親近性が明らかになり,4つのクラスターとそれ以外に分類できた。5.総合的に検討した結果,婦人の健康状態は次の5つの型に類型化された。A型・・・頭痛がする,肌のはりやつやがない,目が疲れる,からだがだるい,関節が痛む,仕事への意欲がわからない。愁訴率もかなり高く,原点からの距離も比較的近い一般的な身体的愁訴項目。B型・・・ものごとにサッととりかかれない,仕事が十分にできない,人づきあいがうまくいかない。愁訴率は低く,原点からも少し離れており,やや特殊な社会的健康に関する項目。C型・・・寝つきや目覚めがよくない,いろいろなことが不安になる。愁訴率のかなり高い精神的健康に関する項目。D型・・・皮膚がかぶれる,腹痛をおこすことがある。愁訴率は低く,原点からも遠いやや特殊な項目。E型・・・生活が充実していると感じられない,自由時間が十分にとれない,会話が聞きとれない,肩や首がこる,動悸がする,めまいや立ちくらみがする,排便が不規則,歯ぐきから出血する,かぜをひくことがある。どの型にも属さない孤立した項目。 (6)関連要因の分析により,I軸は仕事時間,仕事へのかかわり,休日制度,II軸は仕事での身体疲労,生活満足度,仕事での精神疲労,III軸は1日のごはん量,仕事へのかかわりといった要因が大きく関与している。 (7)健康状態のパターンと関与する要因のカテゴリーとの関連をみたが,A型は生活満足度「不満足」,仕事での身体疲労及び精神疲労「感じる」,仕事とのかかわり「従業員まかせ」,1日のごはん量「5杯以上」などのカテゴリーが関与している。B型とC型には,生活満足度「不満足」,仕事での身体疲労及び精神疲労「感じる」,仕事とのかかわり「その他」,1日のごはん量「ほとんど食べない」,またD型には生活満足度「満足」,仕事での身体疲労び精神疲労「感じない」,仕事とのかかわり「その他」,1日のごはん量「ほとんど食べない」といったカテゴリーの関与がみられた。以上,本研究を通じて働く婦人の健康に関するいくらかの知見を得たが,一方では課題も残った。九州大学健康科学センターでは,健康度診断検査の作成を進めているが,今回はそこで取り上げられた診断項目のうち23項目しか使用しなかったため,サンプル数が十分であった割には健康状態のパターン分類にやや明確さを欠いたきらいがある。したがって,診断項目を増やして再度検証する必要があるように思われる。続きを見る
目次 緒言
方法
 1. 調査の概要
 2. 分析
結果と考察
 1. 健康状態の愁訴率
 2. 項目別数値による分類
 3. 原点からの距離による序列
 4. 項目間の距離とクラスター分析
 5. 健康状態のパターン分類
 6. 関連の要因の検討
要約
文献
続きを見る

本文ファイル

pdf 009_p181 pdf 614 KB 58  

詳細

レコードID
査読有無
地域
ISSN
NCID
タイプ
時代・年代
登録日 2009.09.10
更新日 2022.02.25

この資料を見た人はこんな資料も見ています