The present paper deals with the keys to 246 species of pelagic eggs and hatched larvae found in the adjacent waters of Japan. The characteristics for identification of species have been described in the previous paper. The species grouped under the name of certain "type" are those which seemed to belong to a same systematic group, as they show similar characteristics in their developmental course. As the pelagic eggs spawned by the closely related species show not always a striking resemblance to each other, careful examinations are required in the identification of unknown eggs of the same systematic group.
我国近海に出現する浮游性魚卵の検索としては神谷(1924)の報告がある.氏の検索には当時までに判明した53種が合まれているが,その後多くの種類について浮性卵の性質が判明し,氏の検索を夏に充実させる必要が感じられてきた.この報告では我国近海に出現するか,または出現することが予期される246種(種名不詳のものも含む)についての検索を示した.収めた種類は筆者が,主として,九州近海から得たものが多く,それらに既に報告されている種類を加えた.しかし,この海域に出班することが予想される種類はなお甚だ多く,更に詳細な研究が必要である.学名はシロギス(キス)を除き松原(1955)によつた.種名は判明しなかつたが,所属の見当のついた種類は属,科(亜科)または目(亜目の1種として示し,番号を付した.卵内発生および孵化仔魚の性質が既に判明している種類に酷似した1群の肺は型としてまとめ,それらに番号を付した.しかし,分類学上近縁な種類の卵はその性質が良く似ているとは限らない.したがつて,未知の卵がある既知の種に酷似していてもその分類学的所属の判定は慎重に行う必要がある.なおこの場合には卵の性質よりも孵化した仔魚の性質に満目するのがより合理的な場合が多い.所属の判定が出来なかつた種類は符号で示し,将来の研究に侯つことにした.種名ないし符号の前に()で示したものは,その種の浮性卵が採集された月と場所とを示す.地名中富岡は熊本県天草郡孝苓北町に,土々属は宮崎県延岡市に,玉之浦は長崎県五島南西端に,津屋崎は福岡市近郊にある.種名ないしは所属の判明した種類については別の機会に記載と図示とを行うつもりである.所属不明のものはそれらが判明するまでは記載を行う意志はない.それらの種類については付図を参照されたい(I.C, No.1; I.D, No.1; II.B, No.1 および II. B, No.2を除く).検索に用いた諸形質については既に報告した(水戸,1960).なお,孵化仔魚の体の各部の区分は神谷(1916)と同じく,吻端から耳嚢直後までを頭部,耳嚢直後から肛門までを腹部それ以後を尾部とした.はじめに本研究に当り終始御指導下さつた内田恵太郎前教授に深謝の意を表する.