<学術雑誌論文>
医療サービスの受診保障と患者自己負担

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概要 わが国の健康保険制度においては,職域保険である被用者保険と地域保険である国民健康保険を並立させる形態の社会保険制度が採用されている.すなわち,被用者保険に所属しないものすべてを強制的に国民皆保険制度に加入させることによって国民皆保険制度を成立させているのが特徴である.この皆保険制度においては自己負担が課せられているが,これは健康保険におけるモラルハザードを防ぐための対策である.モラルハザードとは,...自己負担が軽いと受診が増加することを指す .また,出来高の支払制度では自己負担が軽いと医療を供給する側も過剰な診療をすることも指摘されている.しかし,一方,自己負担が課せられれば,必要な受診も差し控えられて疾病が重症化する危険性もある.米国の研究では低所得者ほど自己負担の影響が大きく,負担の増加に伴って自覚症状に乏しい疾患では受診が抑制されたとするものが多い.このことは,低所得者や軽症の疾患や自覚症状に乏しい疾患では,需要の価格弾力性が大きいことを示している.需要の価格弾力性とは,価格が1%変化した時に,需要が何%変化するかを表す指標である.生命に直接関係する疾患では負担するコストが変動しても医療サービスの需要には変化がないが,軽症の疾患や自覚症状に乏しい疾患では変化が大きいことが知られている.公的な健康保険において,加入者は決められた自己負担を支払う義務がある.わが国では自己負担は保険財政により変化してきた.しかし,どの程度の自己負担があれば受診が適切なのかの判断はむずかしい.適切な自己負担を設定するには患者を対象とした実証的な研究が必要である.とりわけ,自己負担の影響が被保険者の所得によって異なるのか,どの程度の自己負担によって必要な受診が抑制されるかを明らかにすることは,極めて重要な研究課題である.本論では,わが国の医療サービスにおける自己負担の歴史を振り返りながら,筆者が行ってきた自己負担率の変化による受診への影響に関する実証的な研究を紹介してみたい.続きを見る

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登録日 2012.06.04
更新日 2021.07.28

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