<学術雑誌論文>
生体力学場に感応する骨格基材の加工技術と再生医療

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概要 生体組織・臓器を構成している細胞は,多かれ少かれ生体の内在的な,或いは外的な力学的ストレスを受け,これによって細胞・組織の恒常性を維持していることが,この10年間で明らかにされつつある.一般に,細胞はストレスにさらされると,それに対して的確に適応して形態形成と機能発現をし,過度のストレスの場合には,破綻死する.この中でも力学的ストレスは物理的な力として細胞や生体が受ける刺激であり,摩擦力,ずり応力...(shearstress),伸展応力,圧縮応力,経壁圧力である.細胞は,内外に生じた力による変形に対して,それに適応するように(応力を小さく,エネルギー損失を最小にするように)自らの形を変える能力を持っているので,細胞は応力を感知してその情報を形に変換していると言える.細胞にとって力学的環境要因は大切な外的情報の一つであり,どのように感知して(メカノセンサの存在),どのような応答プログラム(シグナル伝達)が整備・配置されているのかは,この10年間の細胞生物学,特に血管内皮細胞の研究分野で明らかにされつつある.力学的ストレスは,物理的な力のベクトルおよびスカラー量およびその加重時間プロファイル(繰り返し,持続あるいは間歇性)によって細胞機能の発現(増殖・分化・アポトーシス)が起こり,遺伝子レベルの変化が生じる.また,細胞単体のみならず,同種細胞の局所的集合化と階層性サブ組織化,さらに組織全体としての形および超微細構造に大きな変化をもたらす.細胞外マトリックス分子はベクトル方向への配向と集合による超分子構造体形成が起こる.従って,細胞を主役とする組織工学では,対象とする臓器が生体内で受ける力学場の強度に対応して迅速に変形でき,除重によって速やかに原形に復元出来る力学的細胞外環境場の設計が重要である.即ち,力学ストレス場に感知し,細胞の形287態と機能および細胞外マトリックスのレベルおよび組織レベルでの高次構造化を具体化する骨格基材(Mechano-activeScaffold)の設計が組織工学の基盤とみなせる.このような生体力学場に感応する骨格基材の要求条件として,1)力学刺激に対して破損・破壊しない力学的性質を有する.2)繰り返し又は間歓的に受ける力学ストレスに感応して迅速に伸縮および復元できる基材.3)長期間の耐久性および耐ストレスの力学的特性がある.4)対象とする臓器によっては,生体内リモデリングによる正常組織の再生と同調して,骨格基材は分解・吸収され消滅する. 力学的ストレス場が最もかかる硬組織として骨と歯,一方,軟組織として動脈,軟骨および靱帯である.本稿では,動脈血管および軟骨組織に限定して,まずこれらの組織の生体力学場の特徴を述べ,ついで筆者の研究グループの骨格基材の成型加工のアプローチを紹介したい.続きを見る

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登録日 2012.06.04
更新日 2021.07.28

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