<学術雑誌論文>
油症検診における血液中ポリ塩化クアテルフェニルの分析

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概要 The polychlorinated quaterphenyl (PCQ) concentrations in the blood are important discriminative parameters in Yusho patients. In this study, the analytical method of PCQ was improved, and a high speed... and precision analysis could be achieved. A recovery test showed satisfactory recoveries of 99.5 % (RSD4.8 %, n=5). Using this method, the authors analyzed 62 blood samples which were collected from the 2004 annual inspection for Kanemi rice oil poisoning. PCQ was detected in 20 blood samples (ranging from 0.03 to 4.15 ng/g). The average concentration was 2.07 ng/g in the pattern A (typical Yusho patients), 0.76 ng/g in the pattern B, 0.18 ng/g in the pattern BC and 0.01 ng/g in the pattern C, respectively.
ポリ塩化クアテルフェニル(PCQ)は,油症患者が摂取したライスオイル中に高濃度に含まれていたことが報告されており,PCDFと同様にPCBを熱媒体として加熱使用中に生成し,ライスオイルに混入した物質であると考えられている.PCQは酵素誘導能,肝肥大,胸腺萎縮,体重増加抑制などを指標とした動物実験結果から毒性は弱いと考えられたが,油症患者の血液に健常者には見られないレベルのPCQが検出されたため,PCQ濃度は油症診断の有用な基準として1976年に追加された.その基準では,血中PCQ濃度は0.1ppb以上が異常に高い濃度とされ,0.02ppb以下が通常みられる濃度,0.03~0.09ppbが境界領域濃度とされている.健常者の血中のPCQ濃度は平均で0.02ppb以下であると結論づけられている.そのため,健常者と油症患者の境界領域と考えられている0.03ppb~0.09ppbの濃度を精度よく分析を行うことが不可欠である.PCQの分析法は前田らにより,完全塩素化物である18塩化クアテルフェニル(ODCQ)として電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ(ECD/GC)で定量する方法として確立された.そして,飯田ら7)によりキャピラリーカラムを用いた分析法が開発され,前処理段階で混入する妨害物がクロマトグラム上で除かれることにより,ECD/GC測定においての精度,感度が向上した.しかしながら,従来からPCQ分析の前処理は血液4~10gを用いて行われており,その前処理は多くの労力と時間を費やすものであった.さらに現在はPCBとPCQに加えて,新しい診断基準として追加されたPCDFの測定も必要になったため,採血者の負担を減らすためにも,より少ない血液量で分析を行う必要が生じている.我々は,PCQを定量するために血液試料2gから前処理を行い,必要な感度である0.02ng/gの検出下限値を達成することができた.そして試料量を減らすことにより,アルカリ分解やカラム精製をより小スケールで行うことが可能となり,検査の迅速性を高めることができた.今回は,その分析方法とそれを用いて行った平成16年度油症一斉検診におけるPCQの分析結果について考察し,いくつかの知見が得られたので報告する.
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登録日 2012.06.04
更新日 2021.07.28

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