<学術雑誌論文>
トランスレーショナルリサーチ推進の問題点とその対策

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概要 トランスレーショナルリサーチ(TR)は時代のトレンドである.医学界,産業界,行政を含め,多くの領域でTRに対する大きな期待が寄せられている.通常,TRは,基礎研究と臨床研究の橋渡し的研究あるいは翻訳研究と解されることが多い.しかし,その解釈はけっして一定のものではない.TRとはいったい何を指すのであろうか?米国の国立衛生研究所(NIH)は,以下のように定義付けしている.基礎研究(basicrese...arch):基礎研究とは,現象や観察される事実についての基本原理を知るための研究であり,その過程や結果を応用することを想定していないもの.TR(translationalresearch):基礎研究から派生した発想,洞察,発見を応用し,ヒトの病気の治療や予防に役立てる過程臨床研究(clinicalresearch):患者指向の研究.ヒトまたはヒト由来の資料を対象とする.生ある個人とは結びつかないような試験管内の実験は含まない.具体的には,病気のメカニズム,治療応用,臨床試験,新規技術の開発,疫学と行動研究,outcomeresearch,福祉研究などを含む.一方,国内5大学と1施設で構成しているTR懇話会では,TRを以下のように定義づけている.「臨床研究(臨床試験を含む)を正当とするに足る必要な非臨床研究を終了し,その結果から人に適応する妥当性が倫理的かつ科学的視点から公式に認められたときに人を対象として行われる小分子化合物,高分子化合物,遺伝子,細胞,組織などを用いた臨床研究を,特にトランスレーショナルリサーチと定義する」一もちろん,この定義では,TRは医師主導型臨床試験や治験とは異なる性格のものであると述べている.これら2つの定義は,TRに対する考え方が,研究者や医師の立場によって大きく異なっていることを示している.すなわち,NIHの定義は,ヒトでの応用を目指しながらも,より基礎研究的な部分をTRとしているのに対し,我が国のTR懇談会では,まさに人での臨床応用のファーストステップの部分こそがTRであると述べている.どちらが正しいという訳ではないと考えるが,少なくともTRについて語る際には自らがどのような立場に立っているかを明確にしない限り,議論が空転してしまうことになる.事実,色々なところで議論の空転が生じている.続きを見る

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登録日 2012.06.04
更新日 2021.07.28

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