<学術雑誌論文>
人工内耳埋込術を支援する低侵襲手術ナビゲーション技術の開発

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概要 人工内耳は補聴器のように耳に掛けたスピーチプロセッサが拾った音情報をコード化し,内耳に挿入し た体内器の電極を通して直接蝸牛神経を電気的に刺激して人工的な聴覚を獲得する機器である.本邦では 1994 年に健康保険適応となり,まず成人の中途失聴(聾)患者に人工内耳埋込が施行された.1998 年に2 歳以上の聾児,その後2006 年に1歳6ヶ月以上と適応基準が拡大されている.現在国内では年間約600 ...人が人工内耳埋込術を受け,うち小児例は約4割である.人工内耳埋込術では側頭骨の乳様突起を削開し, 蝸牛に小孔を開けて電極を挿入する.手術目標である蝸牛が骨中にあるのと同様,手術の際に傷つける可 能性のある重要臓器も骨中に隠れており,それらは可能な限り見ることなく手術を遂行しなければならな い.手術目標も温存臓器も骨中にある側頭骨外科は正確な解剖知識と経験に基づいた精密な手術操作に よって安全性を保つことができる.逆に言えば,正確な解剖知識と精密な手術操作があれば合併症の少な い低侵襲な手術を遂行でき,実際ほとんどの人工内耳埋込は顔面神経,頸動静脈などの重要臓器を損傷す ることなく終了する.しかし手術既往,先天奇形など正常の解剖構造が破壊,欠損した例では定型的な手 術施行は困難で,執刀医の経験と勘に左右される不安定な手術となる.特に先天聾に対する小児人工内耳 埋込術では高率に中耳,内耳の先天奇形を伴うため,しばしば困難な症例に遭遇する.手術器具の現在位置を患者画像に重ねて表示し,重要臓器の損傷を防ぎつつ手術の根治性を高めるナビゲーション外科(図1)は近年大きく進歩し様々な領域で応用されている.我々は困難な側頭骨外科を支援するためのナビゲーション手術開発を九州大学先端医工学診療部と共同で行ってきた.その結果,人工内耳埋込術のような低侵襲,短時間の手術でも患者に侵襲を追加することなく施行可能なナビゲーション技術の開発に成功し,現在先天奇形を伴う人工内耳埋込症例を含む多くの耳科手術に使用している.本稿では我々の開発した低侵襲ナビゲーション手術について概説する.続きを見る

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登録日 2012.06.04
更新日 2021.07.28

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