<紀要論文>
落葉広葉樹の開芽と水移動

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概要 根で吸収され葉で蒸散される水が樹幹を上昇するための駆動力の中心は,成長期で は蒸散がもたらす負圧とされている.しかし開芽より開花が先行する落葉広葉樹では, 開花に必要な水は葉がないまま,しかも休眠がまだ破れない早い時期から動き始める. その際の水移動の駆動力は,やはり成長期と同じように蒸散による負圧であろうか. ここでは水移動に関係する組織構造からみた場合,落葉広葉樹は針葉樹や常緑広葉 樹と比べて...,どのような特徴を持ち分化度からどう位置づけられるかを先ず検討した. 次いで落葉広葉樹の水の動きを春の活動再開を軸として検討したのち,水移動の駆動 力として,先ず休眠枝の蒸散による負圧,ついで木部液の溶質濃度がもたらす正圧, 最後にAcerで特異的にみられる冬期の凍結-解凍サイクルに対応する負圧-正圧サ イクルの3要因をとり上げ,それぞれについて概説したのち次のようにとりまとめた. 休眠枝でみられるゆるやかな蒸散はある大きさの負圧を生じ,この負圧が根からの 吸水や,樹幹での水上昇の駆動力の主体をなしている.さらにBetulaやAcerでは, この時期にみられる木部液の正圧がこれに加わり,水移動を助け開花に必要な栄養素 の輸送に与かっている.このほかAcerに限り,その固有の凍結-解凍サイクルに由来する負圧-正圧サイクルがみられ,春先の水移動を円滑にしている.
Negative pressure is produced by loose transpiration observed on a dormant shoots. This pressure acts mainly as the driving force of water absorption from roots and water uptake in the trunk. Moreover, positive pressure of sap solute observed in winter promotes water movement, contributing to nutrient translocation necessary for flowering in Betula and Acer. The negative positive pressure cycle originating in the freezing-thawing cycle characteristic of Acer species in early spring facilitates water movement.
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登録日 2009.06.16
更新日 2021.03.03

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