<学術雑誌論文>
環境因子による酸化・ニトロ化DNA損傷と発がんリスク評価

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概要 がん(悪性新生物)は1980年代以降わが国最大の死因であり,現在でも年間死亡数が増加傾向にある.厚生労働省の人口動態統計によれば,2012年の我が国の死亡数は約126万人であったが,うち3割近くの約36万人が悪性新生物による.ヒトのがんの大部分は環境因子に起因すると考えられている.発がんをもたらす環境因子は食物,たばこ,感染症など多岐にわたる.種々の環境因子への曝露によって,生体内では反応性の強い...活性酸素種および活性窒素種が産生され,DNA,蛋白,脂質などの生体分子を損傷し,がんをはじめとする様々な疾病に関与すると考えられている.活性酸素種は生体内では化学物質やその代謝物,ミトコンドリアの電子伝達系,炎症細胞のNAD(P)Hオキシダーゼによる触媒作用などによって生成される.活性酸素種にはスーパーオキシド(O2•^-),過酸化水素(H_2O_2),ヒドロキシルラジカル(•OH),一重項酸素(^1O_2)が含まれ,とりわけ•OHは極めて強い反応性を示す.感染症などによる炎症条件下では,NAD(P)Hオキシダーゼで産生されるO2•^-に加え,誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)の発現により一酸化窒素(NO)が過剰に産生される.これらの活性種とDNAとの相互作用により,グアニンの酸化による8-オキソグアニン(8-oxoG)やニトロ化による8-ニトログアニンなどが生成される.これらのDNA損傷塩基は突然変異をもたらし,がん原遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活化を起こして,発がん過程で重要な役割を果たすと考えられる.本稿では,前半で我々のin vitro実験系を用いた,発がん物質による活性酸素種生成を介したDNA損傷機構の解析について述べる.後半では,in vivo実験系およびヒト臨床検体を用いた,感染・炎症関連発がんにおけるニトロ化DNA損傷に関する研究について述べる.これらの研究に基づくDNA損傷を指標とした環境因子の発がんリスク評価についても後述する.続きを見る

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pdf 医学雑誌105-2(平工先生) pdf 1.72 MB 1,478  

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登録日 2014.06.13
更新日 2021.07.28

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