<博士論文>
低収縮強度での静的筋収縮持続に伴う表面筋電図の変化

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指導教員等
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概要 生活・労働の場面における人間の筋負担は小さくなってきている。しかし低収縮強度であっても、作業姿勢の保持のように長時間筋収縮を持続することによって筋疲労が生じる。双極誘導表面筋電図は筋疲労の推定と関連づけて研究されてきた。しかし低収縮強度においては、主観的な疲憊近くまでの収縮を行っても、有効な筋疲労推定法として期待されている表面筋電図の徐波化(低周波数成分の割合が増加すること)は不明確であると考えら...れている。本研究では、低収縮強度での持続的収縮における筋疲労の表面筋電図による推定のための基礎的研究として、低収縮強度での筋収縮の持続に伴う表面筋電図の振幅と周波数分布の変化、およびその原因について検討した。  先ず収縮の持続に伴う表面筋電図の徐波化の程度と収縮強度の関係を調べた。また、低収縮強度での表面筋電図の徐波化が不明確である原因として、周波数分析が表面筋電図の変化を示すのには適していない可能性があると考え、表面筋電図上の平均的な波形の変化を調べるために、波のピークをトリガにして振幅レベル別平均加算波を求め、収縮持続中のその変化を調べた。筋電図の徐波化は収縮強度が強い方が大きいという傾向があり、最大随意収縮(MVC)の20%以下の収縮では徐波化とは逆の速波化が生じる例があった。トリガ近傍の振幅レベル別平均加算波の持続時間は、収縮の持続に伴って30%MVC以上の収縮強度条件では延長するのに対して、20%MVC以下の条件では短縮する傾向があった。 20%MVC以下の条件におけるこの振幅レベル別平均加算波の変化は、筋電図の徐波化とは逆方向の変化であったが、周波数分布では徐波化が見られた。以上のことから、低収縮強度では表面筋電図上の個々の波(連続した波の一部で、明確な立上りから立ち下がりまでの間)の持続時間の延長が、筋電図の徐波化の主原因ではないことが判った。  運動単位における群化活動が筋電図の徐波化の原因であれば、双極誘導よりも導出範囲の広い単極誘導の筋電図の方が、多くの運動単位の活動を反映するということで徐波化が生じやすくなると推測し、単極誘導と双極誘導とで表面筋電図の収縮持続中の変化を比較した。単極誘導の方が双極誘導よりも安定して大きな筋電図の徐波化を示した。ただし、この誘導法間の徐波化の程度の違いは簡単なモデルから推測した導出範囲の違いよりも大きなものであった。すなわち、単極誘導で徐波化が明確であった主原因は導出範囲が広いためではなかった。群化放電と表面筋電図の波形上の変化を検討するために、双極誘導筋電図をトリガとして用い、単極誘導と双極誘導の筋電図について振幅レベル別平均加算波を求めた。そして、振幅レベル別平均加算波上の各時点の値について、表面筋電図の低周波数成分の割合との相関を求めた。相関が高くなる時点、その符号および振幅レベルの関係が、群化放電が筋電図の徐波化に関与していることを示唆した。単極誘導での筋電位は不関電極の電位に対しての負の方向に発生するため、符号をそのまま用いた単純平均電位は筋放電レベルを反映する。双極誘導では導出電位は基線に 対して振幅がおよそ正負対称の波になるため、単純平均電位は筋放電レベルとは関係しない。この導出電位の極性に関する違いが、単極誘導では筋電図の徐波化が見られても双極誘導では徐波化が見られなかった主原因であるとした。  以上の結果から、単極誘導であれば表面筋電図の変化から筋疲労の推定が期待できる。しかし現場での作業は休憩、非活動期をはさんだ繰り返しであり、筋負担の評価は休憩も含めた作業全体で行うべきである。そのため、休憩を入れて疲労性の収縮を繰り返した場合にも疲労感と表面筋電図の徐波化および振幅の関係が保たれるかどうかを調べた。表面筋電図の徐波化と疲労感との関係は疲労を生じさせるような収縮を繰り返しても保たれた。また、表面筋電図の振幅と疲労感との関係には、一度疲労することにより振幅が増大するという影響があったが、その影響自体が疲労の回復が不完全であることを示していると考えれば、筋電図の振幅も作業の筋負担の評価のための情報になると考えた。  最後に、疲労性収縮中の表面筋電図の振幅の増加と徐波化の原因を考察した。表面筋電図の振幅の増加には、新たに動員された運動単位の特徴が関与していると考えた。表面筋電図の徐波化の主原因は運動単位の活動の群化であり、その群化活動の原因は脊髄よりも上位の中枢にあると推測した。  本研究は、低収縮強度であっても単極誘導であれば、収縮の持続に伴って表面筋電図は徐波化すること、および筋電図の振幅の変化も作業の筋負担の評価に有用であることを示した。ただし、表面筋電図の変化には上位中枢の影響があるため、収縮持続中の表面筋電図の変化の意味を理解するには、持続的収縮に対する運動制御における適応としての解釈も加えることが必要であると考えた。続きを見る
目次 目次 第1章 序章 第2章 静的筋収縮持続に伴う表面筋電図の変化の収縮強度による違い 第3章 単極誘導表面筋電図の筋疲労に伴う変化 第4章 振幅レベル別平均加算波による表面筋電図上の群化放電の検討 第5章 疲労感と表面筋電図の関係に事前の疲労性収縮が与える影響 第6章 疲労性収縮の持続に伴う表面筋電図の変化の原因についての考察 第7章 まとめ 全体の要約 あとがき 謝辞 引用文献 付録

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登録日 2013.07.09
更新日 2018.01.17