<博士論文>
車いす使用脊髄損傷者に適した道路寸法と出入口形式および寸法に関する研究

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概要 車いす使用者のための建築指針や街づくり指針が数多く発表されているが、それらにおいては対象となる障害や障害の程度が明示されておらず、また、指針値の根拠が示されていない。本論文では、脊髄損傷者を対象者とし、その障害程度も考慮にいれて、車いす使用に適した通路および出入口の形式と寸法について、人間工学的実験手法を用いて研究した。本論文は、8章から構成されている。  第1章では、国および56都道府県市の車...いす使用者のための街づくり指針値を比較し、各指針値間に統一性がないことを見いだし、本研究の必要性を示した。  第2章では、脊髄損傷者の特徴と本論文の被検者の特徴を示した。全被検者55名(頸髄損傷者31名、胸腰髄損傷者24名)が使用している車いすの大きさの平均値および標準偏差は、全幅59.0±4.7?、全長92.2±2.1cmであり、正規分布を仮定して求めた95パーセンタイル値は、全幅66.7?、全長105.5cmとたった。  また、被検者の車いず操作能力を、直線5mを車いすで層工するのに要した時間で表現することを提案し、それを用いて、日常生活における実用的な車いすの操作が可能な障害の程度を明かにすることができた。  第3章では、アンケート調査により、福岡市およびその近郊に在住する車いすを使用する脊髄損傷者の外出の状況を示し、建築物等へのアクセスにおいて通路および出入口に関する問題点が多いことを明かにした。  第4章では、車いすを基準として、車いすでの通過に適した通路幅や車いすの回転スペースを求めるために、実験室内に設けた模擬通路を車いすで通過する時間を測定する実験を行った。車いすで通路壁を意識せずに通れる通路幅は車いす幅+30cm以上、車いす相互のすれ違いに必要な通路幅は2台の車いす幅+35cm以上、車いすで90度および180度回転するのに必要な回転直径は、それぞれ車いす全長+30cm以上、車いす全長+40cm以上であった。  第5章では、実験室に設置した摸擬出入口を用いて、車いすで通過する際、扉を開けるのに必要な力および空間の大きさを求めた。扉を開けるのに必要な力は、障害程度による差が大きく、その平均値および標準偏差は、引き戸で6.0±2.9kgf、開き戸で8.7±4.8kgfであった。扉を開けるのに必要な力の5パーセンタイル値は、引き戸で1.2kgf、開き戸で0.8kgfとなり、この値以下の力で扉が開くようにすべきである。  また、出入口通過に必要な空間は、障害が重度なグループほど多くの床面積を必要とした。 95パーセンタイル値で指針値と比較すると、引き戸においても開き戸においても、指針値よりも広い空間となった。  第6章では、出入口通過時間をもとに、形式が異なる出入口の特徴を調べた。その結果、通過時間は開き戸を押して開ける場合が最も短く、引き戸、そして開き戸を引いて開ける場合の順となった。  出入口通過時間は、通路側方に扉がある出入口形式では通路幅の影響を受けるが、車いす幅+40cm以上の通路幅があれば影響を受けなかった。また、車いすで扉にアプローチするときの袖壁は、通路正面に引いて開く開き戸がある出入口形式では、40cm以上必要なことがわかった。通路正面に扉がある出入口形式の方が、通路側面に扉がある出入口形式よりも通過時間は短かった。  また、障害程度の違いによる出入口通過時間の差が小さいことで評価したとき、開き戸よりも引き戸の方が使いやすいという結果が得られた。  第7章では、建築物等で使われることが多い15種類の出入口形式の特徴を比較した。すべての通過経路を考慮して、出入口を通過するのに必要な時間で比較すると、出入口形式間に差はなかった。しかし、開き戸では通過方向の違いによる通過時間の差が大きく、また、重度の頸髄損傷者では開き戸を開けることはできても、閉めることができない場合があり、この点において引き戸の設置が推奨された。なお、非常時の扉としては、通過時間が短く、また重度の頸髄損傷者にも開くことができる、押して開く開き戸が適している。  第8章では、本研究で得られた成果を総括した。車いすを基準とした通路および出入口の形式と寸法を、人間工学的実験に基づいて客観的に示すことができた。第2章で示した車いすの大きさの95パーセンタイル値を用いて各種基準値を求め、既存の指針と比較すると、各項目とも指針値の下限に近い値となった。  本研究では5および95パーセンタイル値を基準値として採用しているが、本研究で得られた寸法の平均値と標準偏差を用いて、設計思想に応じたパーセンタイル値を求めて利用することができる。続きを見る
目次 目次 第1章 緒論 第2章 脊髄損傷者の特徴および被験者 第3章 車いすで外出する時の通路・出入口等に関する問題点 第4章 車いすでの使用に適した通路幅 第5章 車いすによる出入口通路に必要な時間・空間・力 第6章 出入口形式の違いによる車いすでの通過時間の相違 第7章 出入りを含めた車いす通過時間よりみた出入口の特徴 第8章 結論 謝辞 参考文献

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O001 pdf 11.3 MB 145  

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登録日 2013.07.09
更新日 2018.01.17