<博士論文>
ディジタル図形の情報圧縮とその認識に関する研究

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概要 計算機の進歩によって、大量のデータを高速に処理できるようになり、様々な分野で計算機は活用されるようになった。画像処理も計算機の進歩によって急速に発展している分野である。画像処理の中でも、画像に関するパターン認識すなわち画像認識は、人工知能とも深く関って、近年益々その応用の範囲が拡がりつつある。実際、産業分野においては、手書き文字認識、顔画像検出、個人識別、魚種識別、医用画像やプリント基板の自動検査...、3次元情報の自動解析に関する計算機ビジョンなど、画像認識処理は不可欠なものとなっている。  画像認識の中でも、工業部品などの比較的単純な画像の認識は、特に図形認識と呼ばれる。図形認識の際には、図形の輪郭線が認識のための重要な手がかりとなる。輪郭線には、認識に有用な多くの情報が含まれているからである。さらに輪郭線を用いれば、2次元の画像情報をそのまま処理するよりもはるかに少ない処理データを扱うだけで済むという利点もある。しかしながら多くの場合、この輪郭線データは、これにもとづく様々な計算を容易にするために、更に圧縮されることが望ましい。しかも、輪郭線による図形認識システムを構築するためには、この圧縮された輪郭線データを用いて、互いに相似な曲線の認識、つまり、シフト、スケーリング、回転に不変な曲線の認識法を確立しておく必要がある。  本論文は、上述のディジタル図形の情報圧縮とその認識に関する研究をまとめたものであり、5章から構成されている。  第1章は序論であり、本論文で扱っている問題の概要と論文の構成について述べている。  第2章では、ディジタル曲線の認識のための特徴抽出における従来法を概説し、それらの方法における問題点を示す。ここでは従来法として、フーリエ記述子、モーメント不変量、及びCSS(曲率尺度空間)を用いる3種類の方法を代表として取り上げている。フーリエ記述子とモーメント不変量とは、曲線認識の際にしばしば用いられている特徴量であるが、形の異なる曲線であっても、それらの値が同じになることがある。また、モーメント不変量は標本化誤差の影響を受け易い。一方、CSS法では、曲線を平滑化の程度を種々換えて平滑化し、それぞれの平滑化された曲線から変曲点を抽出するので多くの時間を要し、更に抽出された特徴量の比較も難しい。また、これら従来法はいずれも単連結曲線のみを扱っており、複数個の曲線を同時に処理することは困難である。これらの方法では、図形を構成する点列の順序に関する情報が必要であるが、これは一般に与えられないからである。更にこれら従来法では、特徴抽出のための入カデータとして多数の点を必要とするので、冗長な情報を含みやすい。従って、効率的なデータ表現の観点から、少数個の特徴点によって輪郭線を記述するのが望ましい。  第3章では、ディジタル曲線から特徴点を抽出するための従来の方法を概説し、それらの問題点を示すと共に一つの方法を提案する。一般に特徴点としては曲率関数の極値点や変曲点が用いられる。ディジタル曲線の曲率は、注目画素とその前後の近傍画素とを結ぶ2直線の成す角度として定義される。ところが、与えられたディジタル曲線から直接曲率を求めると、雑音や曲線抽出の誤差を受け易い。そこで、本論文では再アナログ平滑化という新しい概念を導入して、ディジタル曲線を平滑化し、それによって得られる滑らかな曲率関数によって特徴点を抽出する方法を提案する。この方法においては、ディジタル曲線の平滑化のために、各輪郭点の座標(整数値)を、その点とある近傍点とに挟まれる輪郭点列の座標の平均値(実数値)によって置き換える。 その際の近傍点は、ディジタル曲線を構成する全画素数を考慮に入れて決めている。このようにして平滑化したディジタル曲線の曲率を測ることによって、特徴点の抽出に適した滑らかな曲率関数が得られる。この曲率関数を用いて変曲点を抽出し、さらに変曲点に挟まれた区間で曲率が最も大きな点を極値点として抽出する。この方法を用いると、互いに相似なディジタル曲線から同じ個数の特徴点を安定して抽出できることを実験例によって示す。  第4章では、特徴点の座標値のみを入力情報とするディジタル曲線の認識法を提案する。ここで提案する方法は、代数方程式を利用して、与えられた特徴点から曲線の特徴量を求めるものである。ディジタル曲線の特徴点を複素平面上の点集合とみなすと、この点集合を解に持つ代数方程式が1つ定まる。この方程式をある処理にもとづいて正規化すると、互いに相似な図形は同じ係数を持つ方程式で表現することができる。また逆に、同じ係数を持つ方程式で表現される図形は互いに相似である。従って、提案している方法は、シフト、スケーリング、回転変換に対して不変な図形認識に用いることができる。また、代数方程式は点集合の順序に依存しないので、従来法で扱うことが困難な2重図形等の複数の曲線の同時処理にも適用できる。さらに、提案している方法による図形の具体的な認識法について述べ、種々の実験結果を示す。  第5章では、結論を述べ、今後の課題について論じる。続きを見る
目次 目次 第1章 序論 第2章 ディジタル図形の記述 第3章 ディジタル図形からの特徴点の抽出ー図形情報の圧縮 第4章 特徴点を用いた図形認識ー圧縮情報による図形認識 第5章 結論 謝辞 参考文献 図目次 表目次

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登録日 2013.07.09
更新日 2018.01.17