<博士論文>
functional MRIによるヒト第一次味覚野の機能局在解析 : 刺激装置の開発

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概要 機能的MRI(functional MRI: fMRI)は、脳の血流変化を捕えることによって脳活動部位を画像化する手法であり、刺激によって異なる脳の賦活部位を検出することができる。しかし、味覚に関しては、MRI装置内に横たわる被験者の口腔内で味覚刺激を行うことが難しいこと、溶液の嚥下が頭部の動きを誘発して結果が不正確になること、味覚野は味覚刺激だけではなく様々な口腔の刺激によっても活動することなど...の理由で、fMRIの実験は困難であった。そこで本研究では、新たに装置を開発することで上記の問題を解決し、ヒト脳における第一次味覚野を解析した。 味覚刺激装置は口腔内と口腔外の装置から構成し、口腔外装置はコンピュータ制御により一定の条件で液体を流し出せるように作製し、口腔外と口腔内の装置の間はチューブでつないだ。口腔内装置は、まず個々の被験者の下顎歯列に合わせたマウスピースを作製し、その切歯部に舌側面を開口した楕円柱を接着し、楕円柱の前面には口腔外装置からのチューブをつなげて使用した。口腔外装置から液体を流せば、その液体は楕円柱内を通過して、側面に接続したチューブから口腔外に排出されるようにした。これらの装置を用いれば、離れた場所から一定の条件で溶液を流すことができ、被験者が楕円柱内に舌を挿入すれば、そこに流れる溶液の味を感じるという原理である。 まず、装置の再現性を確かめるために、3人の成人被験者を対象にして実験を行った。実験デザインは、味溶液(0.5 mol/l ショ糖溶液)とコントロール(純水)を30サイクル繰り返すブロックデザインとし、同一の被験者に対して同じ実験を6ヶ月間隔で2度行った。その結果、再現性のある結果が得られ、3人の 3 共通脳活動領域は2回とも第一次味覚野内の近接した部位にみられ、第二次味覚野にはみられなかった。 次に、この装置を用いて、5人の成人被験者に同様の甘味刺激を与えて脳活動領域を解析した。それぞれの被験者では、第一次味覚野の複数の部位に脳活動領域がみられ、その部位や数は多様であった。そこで、5人に共通した脳活動領域を解析してみると、第一次味覚野の島・前頭弁蓋における領域が分離検出された。 本研究では、被験者の舌に味覚刺激を一定条件下で与えるシステムを開発し、これによりヒトの第一次味覚野における甘味刺激に対する脳活動領域を同定することができた。続きを見る

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登録日 2013.07.09
更新日 2023.11.21