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概要 |
重量物を運搬歩行するときのエネルギーコスト(Cw; ml/kg/meter)を単位距離当たりで評価した場合、エネルギーコストは必ずしも運搬物の重量に比例して増大するわけではなく、体重の約10-20%程度の重量が代謝に反映されない場合があり、これまでそのような現象はfree-rideと呼ばれてきた。本研究の前半部では、free-rideの発生メカニズム解明のために、負荷重量、付加部位、歩行速度、傾斜...の影響について検討した。また、ランニングでもfree-rideが観察できるかどうかについては諸説ある。ランニングでは重量物を身体に付加することによって、下肢筋群の筋・腱複合体が適度に引き伸ばされ、「弾性エネルギー」と呼ばれるバネ作用の恩恵を受けることが出来る。つまり重量物を身体に付けてランニングすると、弾性エネルギーをより多く利用できるため、無負荷の場合に比べて走行中のエネルギーコストが低下し、結果的にfree-rideが発生するという説と、重量物による下肢筋群への過剰負担のために、free-rideは発生しないとする説が対立していた。そこで本研究の後半部では、筋電図法を用いてランニング中の弾性エネルギー利用度を測定する方法を確立すると共に、ランニングにおけるfree-rideの有無とメカニズムについて検討した。本研究で得られた主な結果は、1) free-rideは背中に重量物を配置し、低速度で歩行した場合に観察された。2) 歩行において最もfree-ride効果が高いのは、体重の15%に相当する重量物を背中に配置した場合であった。3) 背中の上部と下部に体重の15%相当の重量物を配置した場合、60-80 m/minで後背上部に配置した方が下部に配置した場合に比べて有意にCw値が低かった。4) ランニングでもfree-rideを観察することができた。5)弾性エネルギーの再利用がエネルギーコストと有意な負相関を示した。これらの結果から、歩行におけるfree-rideは、身体重心と付加重量物の相対的位置関係に起因する「身体重心周りの回転トルク」によって発生するが、同時に重量負荷による下肢への過剰負担によってその効果は漸減し、およそ80m/min付近で消滅すると結論した。また、本研究では平地および下り坂ランニングにおいてfree-rideが観察できることを確認した。このメカニズムは重心周りの回転トルクではなく、弾性エネルギーの再利用に起因することが示唆された。続きを見る
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目次 |
Contents Chapter1 Introduction Chapter2 Ergonomic effects of load carriage on energy cost of gradient walking Chapter3 Ergonomic effects of load carriage on the upper and lower back on metabolic energy cost of walking Chapter4 Changes in EMG characteristics and metabolic energy cost during 90-min prolonged running Chapter5 Effects of load carriage on EMG characteristics and energy cost of running at various terrains Chapter 6 General discussion References Acknowledgements
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