<紀要論文>
低次生態系モデルを用いた農業用ため池の水質環境のシナリオ分析

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概要 本研究では,すでに富栄養化が進行した農業用ため池の水環境の保全・改善に資するための水質予測モデルとして,ワンボックス型低次生態系モデルを構築した.本モデルは,窒素, リン,Chl.a,溶存酸素,CODを指標とする生態系モデルであり,このモデルを用いて,ため池の水環境保全に向けたシナリオ分析を行った.対象水域は,福岡市近郊の農業用ため池であるT池であり,数年前から夏季にアオコが発生するなど,富栄養化...による水環境の悪化が見られる.まず,水質環境の現状を把握するために,夏季・秋季に有機汚濁・富栄養化に関わる水質項目を主とした定期観測を行った.その結果,池水のTNは農業(水稲)用水水質基準を大幅に超える値で推移し,また,TPとChl.a濃度はそれぞれOECDによる湖沼分類基準の過栄養湖レベル,富栄養湖レベルにあった.池水と流入水で窒素・リン濃度が同程度であったことから,過剰の栄養塩の流入がT池の富栄養化を引き起こしていると考えられた.つぎに,観測結果と本モデルによる再現結果とを比較することで,モデルの妥当性を検討した.その結果,大雨時で計算結果はTNとTPを過大評価したものの,観測期間を通じて観測結果を概ね再現したことから,本モデルの有効性・妥当性が確認された.さらに,T池の水質環境の改善に対する窒素・リンの流入負荷削減の有効性を検討するためにシナリオ分析を行った.すなわち,窒素・リンの現状の流入負荷量に対して削減率を20%,50%,70%,90%と設定し,これらのシナリオ条件に対する池水の水質環境の変化を本モデルにより予測した.その結果,流入負荷量の削減率を90%に設定することで,T池の水質環境は農業用水水質基準を満たすとともに,貧栄養湖レベルにまで改善されることが示された.
To conduct a scenario analyses for the improvement and preservation of water environment in an agricultural pond, a primary ecosystem model was developed for predicting the temporal fluctuation of chlorophyll-a, nitrogen and phosphorus in an eutrophic closed water. The model was characterized by 5 water quality indices of phytoplankton, organic matter, phosphate- phosphorus, dissolved inorganic nitrogen and dissolved oxygen (DO), and was applied to dynamic analysis of an agricultural pond in Fukuoka Prefecture, Japan, where concentrations of total nitrogen and total phosphorous were extraordinarily high. A comparison between calculations and observations showed that the ecosystem model developed could approximately reproduce the actual temporal fluctuation of chlorophyll-a, nitrogen, phosphorus and DO. The scenario analyses indicated that the 90% reduction of the current nutrient inflow load resulted in the remarkable decrease of total nitrogen and total phosphorous concentrations, fulfilling the water quality standard of paddy irrigation water in Japan.
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p31-42 pdf 1.69 MB 82  

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登録日 2009.04.22
更新日 2017.08.22