<紀要論文>
対人性愛中心主義批判の射程に関する検討 : フェミニズム・クィアスタディーズにおける対物性愛研究を踏まえて

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概要 本稿では、非対人性愛の周縁化をより精緻に捉えるための作業として、二次元をめぐる非対人性愛に関する筆者の研究と、対物性愛に関する先行研究とを接続し、そこから見えてくる論点を検討する。まず筆者の研究をもとに、対人性愛中心主義とバトラーの言う「〈字義どおり化〉という幻想」との関係を要約したうえで、二次元と三次元との存在論的差異の「無意味化」によって、二次元に関する非対人性愛が抹消されるということを確認す...る。次に対物性愛について、とりわけフェミニズムやクィアスタディーズにおける先行研究を紹介する。以上を踏まえて、対物性愛のあからさまな排除と、二次元をめぐる非対人性愛の抹消が、どちらも対人性愛中心主義に根差していることを確認する。そして非対人性愛の無意味化を捉えるための概念をいくつか提案しつつ、非対人性愛が対人性愛の表象とみなされることによって無意味化されるという問題を指摘する。こうした非対人性愛の周縁化を批判するためには、単に非対人性愛について問うだけでなく、翻って対人性愛を基準とした知のあり方そのものを問い直すことが必要である。続きを見る
目次 1 はじめに
2 背景―「二次元」へのセクシュアリティと対人性愛中心主義
2.1 対人性愛中心主義と強制的性愛との重なり ― 「〈字義どおり化〉という幻想」
2.2 二次元をめぐるセクシュアリティの不可視化―無意味化による抹消
3 対物性愛に関する先行研究
4 非対人性愛の周縁化に関する諸論点
4.1 排除/抹消の両方をもたらす対人性愛中心主義
4.2 形態的本質主義(morphological essentialism)
4.3 対人性愛への回収による抹消―「擬人化」をめぐる理解の整理
4.4 実体/表象という序列化― 「代替」「隠喩」「象徴」とみなすことの暴力性
4.5 セクシュアリティと「人格」的交流との結びつきを相対化する
5 今後の課題
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登録日 2023.10.13
更新日 2023.10.13

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