<紀要論文>
軽症高血圧者に対する健康処方の適用と効果に関する研究(第1報) : 3ヵ月間の運動教室について

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概要 Non pharmacological treatments for mild hypertension have been paid attention recently. We examined the effectiveness of mild exercise training for hypertensives and aimed the development of health-op...timising program 'health formula'. Twenty three volunteers with either high systolic pressures over 140mmHg or high diastolic pressures over 90mmHg and without other diseases joined 'Exercise Class for Mild Hypertensives'. Twice a week, every Monday and Friday, from September 20, 1985 to December 20, 1985, they took 90-minite class. They had trainings of walking, jogging and other exercises with 50% of maximal intensity. After 3 month training, subjects showed improvement in swiftness, flexibility and balance. Blood pressures decreased 14mmHg in systolic and 7mmHg in diastolic (p<0.05, respectively). Electrocardiogram showed improvement of myocardial ischemia in all 3 subjects who had had impairment before training. Blood sugar, triglycerides, β-lipoproteins and total lipids decreased significantly in subjects compared with age-matched control group (n=10). Renal function (serum creatinine) improved. In psychological approaches, subjects showed good effects such as improved stability of emotion. (Journal of Health Science, Kyushu University 9: 63-78, 1987)
軽症高血圧者(拡張期血圧が90mmHg以上かまたは収縮期血圧が140mmHg以上)22名を対象にして健康処方を行う中で,とくに歩行・ジョギングおよび軽スポーツを中心として週2回,1回90分の運動教室を3ヵ月間実施した。そして,運動指導の開始時と終了時に身体面・医学面・心理面などの諸検査を行い,その効用性を分析した。おもな結果を要約すると,次のとおりである。1.身体面では形態面では顕著な変化はみられなかった。体力面では男女とも瞬発力,柔軟性,バランス能力の向上がみられた。2.医学面では,血圧低下,心電図所見の改善,血糖低下,脂質代謝の改善,腎機能の改善,酸素運搬能を反映する赤血球数の増加や組織の修復に用いられる血小板数の増加などが認められた。3.歩行またはジョギング直後の血圧・脈拍は運動前の安静時に比較して,脈拍は22.4%増,収縮期血圧は8.4%増,拡張期血圧は8.0%増が最高で,いずれも危険な値までにならない適度な運動であった。また,軽スポーツ終了後の脈拍,血圧の回復機能は運動教室の経過と共にすみやかになった。さらに,個別的には80.0%が運動前に比較して血圧が低下したことを自己認知している。4.心理面では,矢田部・ギルフォード検査での情緒安定性の向上,精神的健康度調査での強迫傾向の緩和,Self-Esteem Scaleでの自尊感情の増加などが認められた。皮膚温バイオフィードバックでは有意な皮膚温の上昇が認められた。終了時に調査した血圧に対する感情的態度では「こわい」「不安」という不快的感情が5割あった。逆に快感情としては「良い」「安心」が約3割みられた。5.運動教室に対する評価では,スポーツに対する感情的態度やスポーツの効果に対する信念が向上し,余暇活動の重視や情緒安定,健康度の評価などが向上した。また,日常生活面では体調の好転,生活の活性化や情緒の安定,健康・体力への自信,家庭での運動量の増加などがみられ,参加者は家族の協力に支えられ,話題の提供などで家族への影響もあったものと思われる。さらに,運動面では75%が1500mを自分のぺースでジョギングすることができるようになり,運動の楽しさ,グループの人間関係,指導法,運動教室への参加などに対して非常に高い評価をしている。以上の如く,健康処方としての最初の指導であったため,多くの課題を感じながら終了したというのが実感である。その第1は,各処方が同時にスタートし,併行して進行していく必要性があることから,運動開始前の諸検査にもとづき,いかに敏速に処方を与えるかということである。運動教室だけが進行していくという現実があった。検査・調査内容の検討と共に,個人処方のためのシステム化が急務といえよう。第2に,運動負荷の問題がある。主運動は「歩行→歩行+ジョギング→ジョギング」と段階的に指導し,事故はまったく生じなかった。しかし,その際の運動強度は,個人のコントロールに依存せざるを得なかった。室外で行う有病者に対する運動強度の与え方については再検討が必要である。第3は評価法である。多くの処方が同時に進行するので,血圧の変化は各要因の幅そうした結果となる。運動,栄養,精神安定などの影響をどのように評価するかは難しい。こうしたマクロな実験研究は実験室内での基礎的研究と日常生活での応用への移行的な研究であろう。それだけに研究としての効用性の分析は,今後の課題として残る。そのほか,指導スタッフの充実,運動指導に必要な医学的検査機器の整備,運動指導の期間・同数・時間,運動教室終了後の指導など,多くの課題が山積している。
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登録日 2009.09.10
更新日 2018.06.12