<博士論文>
景観シミュレーションとリモートセンシングのための画像解析技術に関する研究

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概要  近年,コンピュータや携帯電話などの情報サービス業の市場が急速に発達し,その流れに沿って測量業界でもGIS(Geographic Information System)やGPS(Global Positioning System),リモートセンシングといった空間情報の高度な利用への期待が高まっており,技術革新が行われている。
 例えば,近年米軍の規制緩和により民間会社から地上分解能60cmや1mとい...う高分解能衛星画像が提供されるようになってきている。この高分解能衛星画像は,従来の地上分解能が数十mであるLandsatTMやSPOTなどの衛星画像と比較して,より詳細な解析を可能とし,農業支援,森林調査,海洋調査など各種コンサルティングに活用されている。更に,高分解能衛星画像から道路や建物などの地物データの自動抽出に関する研究が数多く行われており,これによって人手を要する国土地理院発行の2万5千分の1地形図など各種地図の更新作業の省力化への活用が期待されている。
 また,ハイパースペクトル画像と呼ばれる可視光線から近赤外線領域を200バンド以上の細かい周波数間隔で連続的にデータを取得できるものも登場している。このハイパースペクトル画像は,現在主に航空機にセンサを搭載して取得され,農業分野では品目や品種毎の生育推定,森林分野では樹種や樹冠の推定,その他にも地質や資源調査などに活用されている。
 このような状況の中,本論文では,空間情報を活用した景観シミュレーションと空間分析のためのリモートセンシングに注目する。本論文は,景観シミュレーションとリモートセンシングのための画像解析技術に関して著者が行った研究をまとめたものであり,7章から構成されている。
 1章は,序論であり,本論文の社会的背景と論文の概要と構成について述べる。
 2章では,デジタル写真測量などの測量技術により高精度の地形データや地物データを取得して,そのデータに航空写真の正射投影写真(オルソフォト)やデジタルカメラの画像をテクスチャマッピングして,現実世界と相似の3次元空間を作成し,この3次元空間内をリアルタイムレンダリングによりインタラクティブに視点を移動できるシステムを提案し,その作成方法と利活用の分野を示す。
 3章では,景観シミュレーションをストレスなくスムーズに動作させるために必要となる地形データ(DEM: Digital Elevation Model)の高速描画法を,狭い範囲と広い範囲に分けてそれぞれ提案する。まず,メモリ内にデータを格納できる限定領域DEMの高速描画として,DEMをあるまとまった塊に分解して視野に入る塊のみを描画する方法を提案する。次に,メモリ内にデータを格納できない広域DEMの高速描画法として,塊毎の処理による条件文の削減,一定距離以上のDEMの粗略化,先読みによるファイルからメモリへの格納という処理に基づいたシームレスな方法を提案する。
 4章では,モードフィルタの景観画像解析への応用として,欠損したDEMの補間法とハイパースペクトル画像からの森林分類法を提案する。欠損したDEMの補間には,モードフィルタとイメージアナロジー法を組み合わせた方法を提案する。ハイパースペクトル画像からの森林分類では,モードフィルタと正規化植生指標(NDVI:Normalized Difference Vegetation Index)を組み合わせた方法を提案する。
 5章では,エントロピーに基づいてマルチスペクトル画像からセグメンテーションと領域抽出に適した部分バンドを選択する方法を提案する。まず,マルチスペクトル画像のセグメンテーションにおいて,各バンド画像のエントロピーに基づいてセグメンテーションに適した部分バンドを選択する方法を提案する。次に,ユーザが指定した画素と似ている領域をマルチスペクトル画像から抽出することを考え,そのような指定領域抽出に適した部分バンドを選択する方法として,画素間の類似度に基づくエントロピーによる選択法を提案する。
 6章では,マルチスペクトル画像のファジィクラスタリングによる領域分割法と結合特異値分解による圧縮法を提案する。マルチスペクトル画像のファジィクラスタリングによる領域分割では,ランダムサンプリングによって得られる複数のデータ部分集合をクラスタリングしてデータ量を削減することによって,全データのクラスタリングを高速化する方法を提案し,マルチスペクトル画像のファジィ領域分割に応用する。マルチスペクトル画像の特異値分解による圧縮では,サイズの同じ複数個の行列を同時に特異値分解する結合特異値分解の反復解法を提案し,マルチスペクトル画像のデータ圧縮に応用する。
 最後に7章は,本論文の総括であり,結論を述べ,今後の課題について論じる。
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詳細

レコードID
報告番号
学位記番号
授与日(学位/助成/特許)
部局
登録日 2009.08.13
更新日 2020.11.16