<Doctoral Thesis>
Study on estimates of local resources potential and establishment of land use planning method for the construction of the regenerative society

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Abstract  都市と農村の連携による地域資源の持続的な保全・活用を基盤とした自然循環型社会の確立を目的として,特に都市近郊農村における独自の自然条件に適応した地域環境管理システムや,その潜在的な資源生産力に焦点をあてた緑地生態学的な研究を行った。  一連の研究により,自然循環型社会研究の中心議題である①地域特性に応じた自然資源の保全・活用の方向性,②その利用方針に基づく許容人口規模,③地域の連携による可能...性とその課題,④国策として進められている資源循環型社会(リサイクルによるエコタウン事業)との違いについて明らかにするとともに,エコロジカル・プランニングの手法を応用した具体的な土地利用計画手法と,その連携による自然循環型社会モデルの提案を行った。その概略を以下に示す。  まず序論において問題認識と本研究の対象を述べ,自然循環型社会の確立に関する先行研究の課題と本研究の位置づけを述べた後,本研究の手法と構成を述べた。  そこでは,これまでの既往研究では,今後の方向性がいくつか示されているものの,具体的なモデルや,地域計画のあり方については十分に言及されていないこと,それ故,具体的な地域を対象とした調査・分析に基づく許容人口規模の検討や,地域計画手法などの議論が必要であることを主張した。  第1章では,離島という条件下のもと,比較的に近年まで自然条件を活かした有機的な土地利用が維持されており,その応用による自然資源の循環利用が期待できる福岡県新宮町相島地区を対象とした。そこで食料および木質バイオマス生産力を指標とする許容人口規模の算定と,太陽光・風力発電等の新技術をも連携させた複合的な循環型地域モデルの構築を試みた。  その結果,この30年の間に失われていた地域特有の土地利用形態を基に,かつて防風・防潮林であった樹林地を保全し,地域内の自然資源への負荷や,アメニティに配慮した食料生産および,木質バイオマスの熱エネルギー利用を行ったとしても,現在の居住者だけでなく,一定量の観光客や,移入者まで含めた持続的な資源供給が可能であり,独自の歴史・文化景観の動態保全にもつながることを明らかにした。  続く第2章では,先の循環型地域モデルが,より領域が広く,地域資源の質が異なる地域への展開や,その実現性について課題を残したことを踏まえ,より一般的な地域資源である里地・里山林を有し,市民参加による農林地の保全管理が期待される福岡県新宮町(除く相島)を対象に,拡大した都市域と複数の農村集落から構成される地方自治体スケールでの農林地の変遷と,その潜在的の試算による自然循環型社会に向けた可能性と課題点の整理を行った。  その結果,急激に増加した新興住宅や,市街地を含む町単位では,既に域内の農林地から供給できる食糧・家庭用バイオマスエネルギー量を上回る人口規模と生活水準にあり,今後さらなる都市開発により,その自然循環型社会づくりの指標となる潜在的な地域内自給(地産地消)率が低下することを明らかにした。  また,自然循環型社会の基盤として期待される近郊農村単位では,現存量の点では,食料およびバイオマスエネルギーの地区内消費量だけでなく都市域への余剰供給が可能であると算定されたものの,戦後,急速に進められた農林地の単作・人工林化による資源としての質の低下と,農林地所有者の高齢化・後継者不足に伴う管理・利用率の低下が深刻な現状を明らかにした。  また第3章では,高い潜在力を有しつつ,その農林地の保全・活用が滞る近郊農村(的野地区)を対象に,より詳細な管理利用実態調査や,その水源涵養・生態的保全機能等の公益的機能評価,ならびに所有者の意向等を踏まえた今後の保全・活用方針の検討を行った。  その結果,農林地の用途(林種),所有区分,林齢区分(過去の履歴)等のオーバーレイによる農林地区分の有効性を検証するとともに,その区分ごとの具体的な管理目標の設定と,優先的に保全管理すべき場所の特定を行うことができた。  続く第4章では,農林業が継続されてきたものの,急速に進められた単作・人工林化の影響や,共有地管理等の所有者との関係,さらには現在の農林地が有する多面的な公益的機能を無視できない近郊農村(的野地区)を対象に,先(第3章)に設定した具体的な里地・里山林の保全・活用に基づく循環型地域モデルの構築を試みた。  その結果,町面積の1割に過ぎない的野地区において優先的に管理が必要な農林地の保全・活用を行った場合でも,現在の地区内人口分の食料と家庭用エネルギー(熱・電力)をほぼ賄えるだけでなく,隣接する都市域へ供給可能な家庭用熱エネルギーおよび野菜の余剰生産が見込まれることを明らかにした。  また,この土地利用計画手法は,隣接する農村域へと展開が可能であり,より安定した食料・エネルギーの持続的な供給や,地域の大半を占める二次的な自然環境の保全,グリーンツーリズム等の新しい産業の創出,廃棄物の削減が期待できることをまとめた。  以上の成果は,日本造園学会(ランドスケープ・エコロジー)の研究論文(3篇)として受理され,その中で提案した地域モデルは,最新の研究※注1)の中で,「地域に様々な形で存在する生物資源の賦存量だけでなく,その有機的なつながりを考慮し,総合的な視点から地域評価を行った数少ない事例」として位置づけられている。  また,地域モデルの構築に採用したアプローチは,生態系,歴史,文化,アメニティ(審美性)に配慮したアジア圏で有用なデザイン手法であることが評価され,2002年にソウル大学で開かれた国際学会において特別に発表と論文の掲載を認められた。 ※注1)原科幸爾・武内和彦(2004):長野県佐久市を事例とした地域循環型の生物資源利用システムに関する研究,日本造園学会誌,Vol.67(5),p741-744show more
Table of Contents 目次 緒論 序章 第1章 離島における地域資源の保全・活用による循環型地域システムの可能性とその計画手法の提案 第2章 地方自治体スケールでみる農林地の変化とその保全・活用による自然循環型社会システムの可能性 第3章 都市近郊里地・里山型の循環型地域システムの確立に向けた農林地の現況評価とその保全・管理方針の検討 第4章 都市近郊里地・里山林の保全・活用による循環型地域システムの可能性とその計画手法の提案 結論 自然循環型社会構築の可能性および提案した計画手法・社会モデルの総合考察 謝辞

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pdf k008-01 pdf 68.1 KB 384 目次
pdf k008-02 pdf 85.7 KB 295 緒論
pdf k008-03 pdf 846 KB 294 序章
pdf k008-04 pdf 892 KB 302 第1章
pdf k008-05 pdf 967 KB 244 第2章
pdf k008-06 pdf 1.94 MB 291 第3章
pdf k008-07 pdf 1.09 MB 272 第4章
pdf k008-08 pdf 2.82 MB 349 結論
pdf k008-09 pdf 59.9 KB 225 謝辞

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Created Date 2009.08.13
Modified Date 2020.11.11

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