<博士論文>
左右大脳半球の機能的非対称性と視空間認知能の個人差に関する研究 : 性ステロイドホルモンと性役割アイデンティティの影響に関して

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概要  本研究の目的は,男性における左右大脳半球の機能的非対称性と視空間認知能が性ステロイドホルモンや性役割パーソナリティーといった要因から同様の影響を及ぼされるのか,それとも異なる影響を及ぼされるのかを検討し,左右大脳半球の機能的非対称性と視空間認知能がそれぞれ異なる要因によって影響を及ぼされる場合には,それらに影響する要因を検討することであった。本論文の構成は以下の5章である。  第1章では,本研...究の背景に言及し,左右大脳半球の機能的非対称性と視空間認知能に関して,生物学的「性」に加え,性ステロイドホルモンや性役割パーソナリティーに着目した検討が必要であることを示した。また,左右大脳半球の機能的非対称性や視空間認知能は,これまで主に男性性ステロイドホルモンであるテストステロンによって促進されるとされてきたが,女性性ステロイドホルモンであるプロゲステロンやエストラジオールによって抑制されることも報告されていることから,テストステロンだけでなくプロゲステロンやエストラジオールを含めた関係にも着目する必要があることを述べた。さらに,性役割パーソナリティーは,主にテストステロン(アンドロゲン)との関係が報告されているものの,プロゲステロンやエストラジオールといった女性性ステロイドホルモンもしくは左右大脳半球の機能的非対称性や視空間認知能との関係を報告した研究例が少なく,それらの関係について検討する必要があることを述べた。  第2章では,左右大脳半球の機能的非対称性を評価する視覚課題を検討した。視覚課題のパラダイムの違いが左右半視野の反応時間に影響を及ぼすことがあげられる。そこで,本章では,視覚課題の左右半視野間の反応時間に差をもたらす要因として,視空間的注意による視覚情報処理の促進効果に着目し,視空間的注意の促進効果に影響すると思われる手がかり刺激の異なる先行時間を比較した。この結果,異なる先行時間においても左右半視野間の反応時間に差が認められず,その要因として手がかり刺激を用いたことと,被験者に弁別を行わせない単純反応課題であったことが考えられた。さらに,この2点を検討するために,弁別反応課題において手がかり刺激を用いた場合と用いない場合,それに手がかり刺激を用いない場合の単純反応課題を比較した。これより,左右半視野間の反応時間の差を検討するには,弁別反応課題を用いることに加え,手がかり刺激を呈示しないことが必要であることを示した。  第3章では,性役割パーソナリティーが左右大脳半球の機能的非対称性に及ぼす影響を検討した。この結果,性役割パーソナリティーの男性性が高い男性は,男性性が低い男性に比べ,左右大脳半球の機能的非対称性が強い傾向にあり,さらに視空間認知能に優れていることが示唆された。これより,左右大脳半球の機能的非対称性と視空間認知能の促進,ならびに性役割パーソナリティーの男性化は,男性性ステロイドホルモンであるテストステロン(アンドロゲン)の作用であることが考えられた。  第4章では,性ステロイドホルモンが左右大脳半球の機能的非対称性と視空間認知能に及ぼす影響を,性役割パーソナリティーを含めて検討した。ここでは,男性性ステロイドホルモンであるテストステロンに加え,プロゲステロンとエストラジオールといった女性性ステロイドホルモンも評価し,左右大脳半球の機能的非対称性と視空間認知能を評価し,それらの関係を調べた。その結果,左右大脳半球の機能的非対称性とプロゲステロンならびにエストラジオール,視空間認知能とエストラジオールに有意な関係が得られ,これまで着目されてきたテストステロンだけでなく,プロゲステロンやエストラジオールといった女性性ステロイドホルモンも左右大脳半球の機能的非対称性や視空間認知能に影響を及ぼすことが示された。さらに,プロゲステロン濃度と左右大脳半球の機能的非対称性の関係は2次曲線の関係であったことから,その影響について充分に説明することは困難であったため,テストステロン濃度に対するプロゲステロン濃度の比率に着目し検討した。これより,プロゲステロンに対してテストステロン合成の高い個人では,テストステロンが女性性ステロイドホルモンの左右大脳半球の機能的非対称性や視空間認知能を低下させる作用を抑制し,テストステロン自身によって視空間認知能を促進させることが示された。また,性役割パーソナリティーと左右大脳半球の機能的非対称性ならびに視空間認知能の関係を示す結果は得られなかった。しかし,性役割パーソナリティーが男性性と判断された男性は,男性性と判断されなかった男性よりも,テストステロン合成が高いことが示され,高いテストステロン合成が性役割パーソナリティーを男性化する可能性が考えられた。  第5章では,性ステロイドホルモンと性役割パーソナリティーが左右大脳半球の機能的非対称性と視空間認知能の個人差の関係について,本研究で得られた結果を総括し,最後に今後の問題点と展望を述べ結論とした。続きを見る
目次 目次  第Ⅰ章 -序論-  第Ⅱ章 -左右大脳半球の機能的非対称性を評価する視覚課題の検討-  第Ⅲ章 -性役割アイデンティティと左右大脳半球の機能的非対称性の関係-  第Ⅳ章 -性ステロイドホルモンが左右大脳半球の機能的非対称性と視空間認知能、性役割アイデンティティに及ぼす影響-  第Ⅴ章 -総括-  謝辞  付録

本文ファイル

pdf k083-01 pdf なし 93.7 KB 377 目次
pdf k083-02 pdf なし 1.02 MB 293 第1章
pdf k083-03 pdf なし 832 KB 208 第2章
pdf k083-04 pdf なし 388 KB 196 第3章
pdf k083-05 pdf なし 1.28 MB 277 第4章
pdf k083-06 pdf なし 192 KB 188 第5章
pdf k083-07 pdf なし 46.6 KB 173 謝辞
pdf k083-08 pdf なし 91.8 KB 179 付録

詳細

レコードID
査読有無
報告番号
学位記番号
授与日(学位/助成/特許)
受理日
部局
所蔵場所
所在記号
登録日 2009.08.13
更新日 2026.04.23