<Doctoral Thesis>
Seasonal variation of thermoregulation in a hot environment : Effects of age, sex, and sleep deprivation

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Abstract  本研究では,暑熱環境下における体温調節反応の季節変動を青年と児童の年齢差,青年および児童における性差に関して包括的に検討し,さらに,現代の生活労働環境を反映した体温調節反応の季節変動に関する研究として,24時間断眠後の暑熱環境下における体温調節反応の季節変動について検討した。本章では,各章の内容を要約し,本研究で得られた結果をまとめ,さらに今後の課題について述べる。  第1章では,季節とヒトの...関わりおよび体温調節反応の季節変動に関する研究の歴史とその発展について述べた。また,体温調節反応の季節変動に及ぼす年齢,性,断眠の影響について,過去の知見とともに問題点を呈示した。ヒトの体温調節反応の季節変動性に関する研究は,寒暑の明瞭な季節変動がある日本においては特に古くから関心が高く,体温調節反応の季節順化に関する研究は世界に先駆的に行なわれてきた。しかし,暑熱負荷や運動負荷の方法やその強度の違い,厳密な条件設定の困難さなどのために,見解の収拾に至っていない点が多い。近年の測定技術の向上により多岐にわたる厳密な測定が可能になった。そこで,暑熱環境下における,基本的な安静時体温調節反応の季節変動について包括的に評価し,過去の知見と比較することは,見解を収拾し理解を深める上で意義があると考えられた。また,過去の知見と比較することは,急速に変化し続けてきた自然環境や生活環境が,将来的な観測のもと少なからず出てくるであろうと考えられるヒトの体温調節能および適応能に及ぼす影響や弊害,危惧を見出す可能性にも繋がると思われた。  第2章では,暑熱環境下における体温調節反応の季節変動に及ぼす年齢の影響について比較検討した。30℃実験室内で40分の42℃下腿温浴を行なった結果,下腿温浴中の直腸温上昇度の冬期から夏期への低下は,青年より児童の方がやや大きかった。冬期から夏期への全身総発汗量の増大に関して,児童では青年女子とほとんど等しいといえたが,青年男子よりは小さい傾向にあった。冬期から夏期への発汗潜時の短縮は青年より児童で小さく,単汗腺あたりの汗出力も特に青年男子と比較して児童では小さかった。つまり青年に対して児童の汗腺機能の季節順化能は低く,汗腺機能が未成熟であり,これが起因して全身総発汗量における冬期から夏期への増大が青年より児童で小さかったと考えられた。前腕部皮膚血管血流量における冬期から夏期への増加率は青年より児童で大きい傾向があった。つまり,児童の血流反応における季節順化能は青年と変わらず,特に児童においては青年以上にまた発汗以上に血管拡張による体熱放散の増加が重要であった。  さらに,暑熱環境下における体温調節反応の季節変動に及ぼす性の影響を青年について検討した結果,冬期から夏期への直腸温上昇度の抑制に性差は認められなかった。冬期から夏期への全身総発汗量の増加率でも有意な性差は認められなかったが,女子の方が12%小さかった。青年男子における冬期から夏期への局所発汗量の増大は著しい傾向としてみられたが女子にはみられなかった。また汗腺単位でも季節変動による夏期の発汗量の増大が男子より女子で小さく,つまりこれらは,男子に対して女子の汗腺の発汗能力が低いことに起因すると考えられた。前腕部血流反応における季節変動に性差はないと考えられた。しかし,夏冬ともに青年男子は発汗放熱による平均皮膚温の下降傾向を示した一方,青年女子は高い皮膚温を維持したことから,青年女子では全身での皮膚血流量の増加が示唆され,男子よりも,また発汗よりも皮膚血管拡張に依存した熱放散反応を示したと考えられた。  児童における性差は,前腕部発汗量の季節差において認められ,冬期から夏期への発汗量の増大は女子より男子で大きかった。これは児童女子に対する児童男子の自然環境下での活動量の多さに起因していると思われた。  第3章では,断眠が暑熱環境下における体温調節反応に及ぼす影響とその季節差について検討した。通常睡眠後および24時間断眠後において,気温30℃環境下で60分間の42℃下腿温浴を行なった結果,青年男子の体温調節反応は,断眠による皮膚血管収縮神経の抑制が起因し,乾性の熱放散反応が亢進されたことが示唆された。したがって,断眠時には血流反応による熱放散が体温調節に貢献し,断眠時の全身総発汗量が少なかったにも関わらず,断眠時の直腸温上昇が抑制され,特に夏期において通常睡眠時より有意に直腸温上昇が小さかった。通常睡眠後,24時間断眠後における青年男子の体温調節の季節変動は,暑熱反応の日内変動の影響により,少なくとも朝の時間帯では小さかったと考えられた。また,断眠後の体温調節反応に関するさらなる研究には,体温調節反応の概日リズムや季節性を考慮すべきであることが明らかになった。  以上,暑熱環境下における体温調節反応の季節変動を青年と児童の年齢差,青年および児童における性差を示した。また,断眠が暑熱環境下における体温調節反応に及ぼす影響とその季節差を述べ,暑熱環境下における体温調節反応の季節変動と年齢,性,断眠の影響として基本的かつ包括的なデータを得られた。本研究により,よりヒートストレスやリスクが大きいと考えられた児童や女性および断眠時であっても,それらの特徴を生かした放熱手段によって体温が負担少なく調節され得ることが明らかになった。ただし,実生活上での個々の温熱環境や生活環境,またより苛酷な暑熱条件下において本研究結果を参考される場合には考慮される必要がある。show more
Table of Contents 目次  第1章 序論  第2章 暑熱環境下における体温調節反応の季節変動に及ぼす年齢、性の影響  第3章 断眠が暑熱環境下における体温調節反応に及ぼす影響とその季節差  第4章 総括  引用文献  略語一覧  謝辞

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pdf k081-01 pdf 97.0 KB 296 目次
pdf k081-02 pdf 1.10 MB 430 第1章
pdf k081-03 pdf 2.00 MB 399 第2章
pdf k081-04 pdf 1.10 MB 205 第3章
pdf k081-05 pdf 225 KB 265 第4章
pdf k081-06 pdf 445 KB 188 引用文献
pdf k081-07 pdf 38.7 KB 156 略語一覧
pdf k081-08 pdf 48.0 KB 166 謝辞

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Created Date 2009.08.13
Modified Date 2020.11.11

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