<博士論文>
セレコキシブはWnt標的遺伝子の発現を抑制することにより骨芽細胞の分化を阻害する

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概要 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は骨折の治癒を阻害することが知られている。我々は、cyclooxygenase-2選択的NSAIDsであるセレコキシブが、骨芽細胞においてその分化に重要な役割を果たしているWnt/β-カテニンシグナル伝達経路を阻害することを報告してきた。そこで、本研究ではセレコキシブが骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1の成熟に与える影響を検討した。セレコキシブはcyclinB1...の発現を低下させることによりMC3T3-E1の細胞周期をG_2/M期で停止した。Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路の主要な転写因子であるT-cell-specific transcription factor7-like2のタンパク質発現はセレコキシブにより時間・濃度依存性に低下した。セレコキシブは骨芽細胞の代表的分化マーカーでありWnt標的遺伝子であるalkaline phosphataseのタンパク質発現を、少なくともその一部はプロモーターのT-cell factor結合部位を介して、時間・濃度依存性に抑制した。セレコキシブはまた、骨芽細胞の分化に必須でWnt標的遺伝子の一つである転写因子runt-related transcription factor2も、そのプロモーター活性を低下させることでタンパク質発現を抑制した。さらにセレコキシブは骨芽細胞による石灰化を阻害した。以上の結果から、セレコキシブはWnt標的遺伝子の発現を抑えることにより骨芽細胞の成熟を阻害し、これがNSAIDs投与による骨折の治癒遅延のメカニズムのひとつである可能性が示唆された。続きを見る
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登録日 2013.06.28
更新日 2023.11.21