概要 |
窩洞形成後の超微構造を走査型電子顕微鏡で観察したところ,グループAにおいて窩壁に凹凸不整な鱗状構造および象牙細管の開口を認めた.従って,レーザー光は窩壁を満遍なく蒸散すると考えられた.一方,グループBでは窩縁付近にはレーザーの蒸散痕が認められたが,窩壁の大部分には厚いスミヤー層が残存することが分かった.グループCの窩壁には閉塞した象牙細管と開口した象牙細管が混在して観察された.また,このグループに...特徴的な所見として,窩縁にチッピングが認められた.次に,各グループの窩洞に逆根管充填材としてmineral trioxide aggregate(MTA)を充填した場合の辺縁封鎖性を探る目的で,色素漏洩試験を行った.7日毎に測定を繰り返したところ漏洩量は経日的に増加し,35日目までの観察において最も漏洩量が少なかったのはグループAであった.グループA・B 間(p<0.01)およびグループB・C間(p<0.05)には有意差を認めた.以上の結果から,各グループにおける窩壁に残存するスミヤー層の量が逆根管充填窩洞の辺縁封鎖性に影響を及ぼすと推察された.さらに,レーザー法では光の照射方向の違いがスミヤー層の残存量に関連することから,円錐型チップは平坦型チップに比べて逆根管窩洞形成に適した形状であると判断された.本研究より,根尖切除術に併用される新しい逆根管窩洞形成法として,Er:YAGレーザーの臨床応用の可能性が示唆された。続きを見る
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