<博士論文>
精神障害者の社会生活支援に関する基礎的研究
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概要 | 精神障害者に対する施策は、これまで入院治療を中心に行われてきており、精神障害者の社会復帰と社会生活支援の必要性が認識され、実践に移され始めたのは最近のことである、そして、このような状況の下では、「精神障害者の社会復帰や社会生活をどのように支援するか」ということは重要な研究課題であり、そしてこの課題についての研究は緒に就いたばかりである。 本研究は、精神障害者の社会生活を支援する方法を確立するため...の基礎的な研究として、社会生活支援に必要な視点を見い出すことを目的としている。 論文は、以下の8章から構成されている。 第1章は、序論であり、まず精神障害者の社会生活支援において生活環境に着目することの重要性に触れ、次に本論文で用いる「精神障害者」を定義した。さらに、精神障害者の生活上の特徴、精神障害者を取り巻く状況の変遷について説明し、本研究の目的を述べた。 第2章では、精神障害者が新たな課題に取り組む過程で呈する症状と課題を成し遂げることで得られる状態を明らかにすることを目的に事例研究を行った。事例では、不安や疲労などの非精神病症状と幻覚や思考察知などの精神病症状が頻繁に表出され、後に自分自身の置かれた状況を客観的に捉えられるようになるなど回復・成長と言える状態が得られた。この結果より、新たな課題に取り組むことは、再発と回復・成長という両方の可能性を有していること、また再発を回避しながら可能な限り回復・成長という変化を得るためには、再発の前駆症状の適切な把握、症状悪化時に対応できるシステムの確立などが必要であると考えた。 第3章では、精神障害者の生活上のニ一ズ、生きがい感とその源泉のあり方の性による違いを明らかにすることを目的に調査を行った。生活上のニ一ズについては、男性で「仕事のことについて相談できる人」「一般の職場で正規の職員・従業員として就労できる職場」などについてのニ一ズが高く、生きがい感とその源泉の在り方については、男性では「仕事」「気力・体力」「食生活」など、女性では「家事」「金銭」「健康」「頼りになる人」などの順に生きがい感に正の影響を与えていた。この結果より、男女それぞれの生活上のニ一ズの違いや生きがい感に影響を与える事柄 の違いについての考慮が必要であると考えた。 第4章では、精神障害者小規模作業所(以下、作業所)の通所目的と就労に対する態度の性、年齢による違いを明らかにすることを目的に調査を行った。通所目的では、男性は女性より生活の多くを作業所に依存していることが窺えた。就労に対する態度の男女間の比較では、男性において、年齢群間の比較では、40歳未満の群において、就労の必要性を強く意識する傾向が見られた。この結果より、作業所で生活支援を行う上では、通所目的や就労に対する態度の性や年齢による違いについて配慮する必要があると考えた。 第5章では、通院患者リハビリテーション事業(以下、通リハ事業)において、一般の事業所が訓練生として精神障害者を受け入れることで生じる困難と訓練生の職業能力を明かにすることを目的に調査を行った。事業所は、精神障害者の症状や行動の特性と関連する問題に対処できにくい状況にあった。この結果より、医療機関からの積極的な情報提供が必要であると考えた。 第6章では、通リハ事業協力事業所の精神病や精神障害者についての情報の入手状況、必要としている情報、精神病についての理解などを明らかにすることを目的に調査を行った。事業所は情報を得る機会は少なく、通リハ事業全体の流れや精神病の原因などの情報を必要としており、精神病の原因や薬物治療について不適切な理解をしている事業所も少なくなかった。この結果より、事業所に対して、まず薬物治療や精神病の原因、症状についての情報提供が必要であると考えた。 第7章では、各章の調査結果を踏まえ、「研究方法」「精神障害者の生沽支援と医療との関係」「生活支援での年齢についての配慮の必要性」「生活支援での性に対する配慮の必要性」「多様な生活経験を提供するという視点に立った通リハ事業での事業所支援の必要性」について考察を加えた。 第8章では、総括と精神障害者の生活支援に関する若干の提言をし、さらに今後の研究課題を述べた。続きを見る |
目次 | 目次 第1章 序論 第2章 新たな課題に取り組む過程で見られる症状と再発回避に関する研究 第3章 精神障害者の生活上のニーズと生きがい感に関する研究 第4章 精神障害者の作業所通所目的と就労に対する態度に関する研究 第5章 精神障害者の社会適応訓練を行う一般事業所への支援に関する研究1訓練生受け入れで生じる困難と訓練生の職業能力 第6章 精神障害者の社会適応訓練を行う一般事業所への支援に関する研究2医療機関から事業所へ提供すべき情報の内容 第7章 全体の調査結果についての考察 第8章 総括および今後の研究課題 謝辞 文献続きを見る |
本文ファイル
ファイル | ファイルタイプ | サイズ | 閲覧回数 | 説明 |
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k047-01 | 220 KB | 527 | 目次 | |
k047-02 | 1.02 MB | 773 | 第1章 | |
k047-03 | 1.42 MB | 317 | 第2章 | |
k047-04 | 1.62 MB | 300 | 第3章 | |
k047-05 | 2.03 MB | 361 | 第4章 | |
k047-06 | 1.18 MB | 276 | 第5章 | |
k047-07 | 1.50 MB | 298 | 第6章 | |
k047-08 | 1.20 MB | 306 | 第7章 | |
k047-09 | 900 KB | 329 | 第8章 | |
k047-10 | 39.2 KB | 320 | 謝辞 | |
k047-11 | 722 KB | 349 | 文献 |
詳細
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授与日(学位/助成/特許) | |
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登録日 | 2014.01.24 |
更新日 | 2020.10.06 |