<紀要論文>
Rainy Day Fundが財政の安定性に与える影響に関する先行研究のサーベイ
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概要 | 現在,福祉などの公共支出が拡大するなかで,財政健全化と経済成長の両立が多くの国で重要な政策課題の一つとなっている。1990年以降,欧米諸国では,景気変動のもとで国・地方自治体が財政をコントロールする手法として,財政安定化基金の制度の活用が進められてきた。アメリカの州財政では,Rainy Day Fund(RDF)と呼ばれる財政安定化基金が存在しており,RDFの財政安定化への影響についての分析が蓄積...されている。一方,日本では,地方自治体に緊急時に備えた基金の制度があるものの,基金を使った財政の安定化についての先行研究が少なく,また基金が経済成長に有効に機能しているかについての議論が十分になされてこなかった。本研究では,財政健全化と経済成長の両立に向けた研究の基礎とすべく,日本や欧米における国・自治体の基金を扱った先行研究をサーベイし,その主な特徴について考察する。その際,財政健全化を阻害する要因としての景気変動に注目し,基金が景気変動の下で,財政の安定化や公的債務の水準とどのように関連しているかに注目する。また,基金と経済成長との関連を扱った先行研究の事例も取り上げる。2節では,日本の地方自治体で採用されている基金の動向ならびに,米国のRDFとの違いについて議論する。3節では,欧米における基金の活用と財政の安定性への効果について論じた先行研究の概要をまとめる。4節では,RDFの積立て,取崩しのルールおよびRDFを用いたシミュレーションによる研究内容を取り上げる。5節では,RDFと経済成長の関係についての先行研究を取り上げる。6節では,RDF以外の財政の安定性の手法における先行研究を取り上げ,その課題について検証する。最後に,7節では結論を述べる。続きを見る |
目次 | 1.はじめに 2.日本における基金と財政の健全化について 3.基金と財政の安定性に関する欧米の先行研究 4.RDFの運用に関するシミュレーションの事例 5.RDFがGDP成長に与える影響 6.その他の財政安定化手法 7.おわりに |
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登録日 | 2022.04.04 |
更新日 | 2023.11.15 |