<紀要論文>
鉄の塑性変形および脆性破壊に関する基礎的研究 : Ⅰ

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概要 鉄鋼材料はその高い降伏強度,抗張力等強度上の優秀な特性の故に広く各種機械および構造物において強度部材として使用されている.しかしながらその反面欠点としては低温時又は衝撃荷重に際していわゆる脆性破壊を示し,これは材料使用上安全性の上から重要な問題であり従来その解決を要望されてきた所である.
さて一般に材料強度の問題はその特性として巨視的な力学的条件のみでなく,材料内部の微視的挙動に依存して極めて多岐の...変化を示すため,その合理的な解決には材料組織及び原子的特性をも考慮に入れた基本的解決が望まれている.本研究においては,従つて上述の問題に対し近年著しく進展をなしつつある結晶中格子欠陥の物理像に基づき,二三の実験的研究とともに理論的研究をも併せ行なって問題の解決に若干の寄与を加えようとするものである.
まず鉄についての実験的な某礎的研究について言えば,従来高純度材料の入手がその大なる難関の一つをなしている.従つて本研究においてはまず純鉄の製作より始めた(Ⅴ).つぎにこれより作製した純鉄単結晶について応カー歪曲線の測定,およびすべり帯の微細構造に対する光学および電子顕微鏡的観察を行ない,またこれらに対して転位論的な立場より統一的な説明を試みた(I).以上の塑性変形の問題はそれ自身独立した問題であるのみでなく,破壊機構の研究においても基礎的な重要さを持つものである.
つぎに我々は純鉄及び小量の析出炭化物を含む鉄単結晶および複結晶について劈開破壊の機構を追求した.そこでは特にクラックの発生源についての観察に基づいて純鉄と析出物を含む鉄における破壊機構の相違を明らかにする事を勉めた(Ⅱ).
つぎに我々は結晶の劈開破壊の機構に対する一般的な理論的考察を試みた.そこでは従来未考察に残されている完全結晶の強度特性とその破壊機構への寄与を追求し,またそれと,Peierls応力,不純物原子,および塑性変形等種々の要素による寄与との関連を明らかにする事を勉めた(Ⅲ).
最後に我々は以上の理論および実験的研究に基づいて鉄鋼における脆性破壊の機構に対し理論的考察を試みた.その中では特に純鉄および析出炭化物を含む鋼における破壊の特性を二つの類型的な型に分類し,これらにおける破壊機構の相違を定性的に把握する事を試みた(Ⅳ).
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目次 第1編 純鉄単結晶のすべり,および加工硬化に関する研究
Ⅰ.1 序論
2 応力-歪曲線の測定
2.1 試料,および実験方法
2.2 実験結果
2.2.1) 圧縮試験による大歪特性
2.2.2) 引張試験による歪の微細構造
2.2.3) 歪速度の影響
3 純鉄のすべりに関する光学,および電子顕微鏡的観察
3.1 試料,および実験方法
3.2 実験結果
3.2.1) 鉄における転位網の観察
3.2.2) すべり帯に関する光学顕微鏡的観察
a) 温度,歪速度,および純度の影響
b) すべり帯の結晶方位依存性
c) すべり帯形成過程の連続観察
3.2.3) すべり帯に関する電子顕微鏡的観察
a) すべり帯の微細構造
b) すべり線の結晶方位
3.2.4)考察
4 鉄における加工硬化の理論
4.1 微量炭素の影響
4.2 純鉄のすべり,および加工硬化の特性
4.3 加工硬化の転位理論
4.4 鉄におけるPeierls応力について
5 結論
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登録日 2022.01.18
更新日 2023.03.04

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