<紀要論文>
作家意識の生成 : 志賀文学を視座として
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概要 | 文壇へのデビュー当初の志賀直哉は、まず描写などの技巧の確かさによって評価され、徐々に注目を集めるようになっていった。ところが大正五年、志賀に対する評価は突如決定的に好転する。志賀は当時様々な理由から作品発表を控えていたが、当時の批評家たちは、彼の行動に、内省ゆえに創作活動を休止する禁欲的な探究者の姿を見いだし、その復活を期待するようになったのである。つまり大正五年の評価の好転とは、批評家たちが当時...発生したいわば〈人格t義的コード〉に則って、志賀を解釈して起きた現象だった。もっとも大正六年になるまで当の志賀は、そのような評価の遷移に無頓済であった。その意味で当時の彼には、読者の反応にまで配慮するという意味での作家意識は稀薄だったといえる。それは彼が、自身の問題で手一杯の状態だったことによる。その問題とは、父などの外圧によって強いられる〈受動態〉をいかに超克すべきかということ、その超克を押し詰める際に発生する周囲との対立にどう対処すべきかということなどであった。志賀はそれらの問いを通じて、大正六年、〈受動態〉の超克のために対峙すべきなのは父といった具体的対象ではなく、彼らとの関係に介在する様々な枠組の方であることに気づく。そして志賀は創作において〈受動態〉を強いる枠組に目を向けるようになり、これに意識的に関わろうとするようになる。その意味で、志賀はこの年ようやく作家になったといえる。続きを見る |
目次 | 1 静かなデビュー 2 志賀評価の形成 3 志賀評価の転換 4 作者の憂鬱 5 斥けられる女 6 「好人物」への転向 7 批評との邂逅 |
詳細
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登録日 | 2021.10.14 |
更新日 | 2021.12.13 |