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本稿は、近代日本文学における女流作家の代表的人物の一人である林芙美子(1903 - 1951)に関して、晩年となる戦後の創作活動に注目し、長編小説『浮雲』と、第三部を加筆して出版された戦後版『放浪記』との関係を、「野性」という共通点に即して分析した。『浮雲』のエピグラフに掲載されるシェストフの文章は、新プラトン主義の哲学者プロティノスに関する論考の一部であり、シェストフが指摘するプロティノスの「理...性」批判は、小説『浮雲』において、主に「野性」的な人物「ゆき子」を通して描かれている。この「野性」は『放浪記』にも通じる点があり、第三部で、よりアナーキーな側面を強調した姿勢と重なる。戦後になって、自己注釈的に第三部が追加された戦後版『放浪記』と、戦前における徴用体験を自己省察的に描いた『浮雲』が、「野性」という特性によって結びつき、彼女の文学的評価を好転させる要因の一つとなり、また、モダニストとしての再評価にもつながった。show more
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