Notes |
|
稲小粒菌核病菌(Leptosphaeria salvinii 及び Helminthosporium sigmoideum var. irregular)を各種の炭素源, 窒素源添加培地に液体培養した場合の菌体重, 菌核形成, pH, 菌産出の色素について調べた. 結果は次のようである. 1. 炭素源としては pentose, hexose, polysaccharide の中, maltose, sucrose, fructose, glucose, xylose, dextrine, starch が菌の生育は良好で, 菌核形成量及び色素(小球菌の場合)の産出も菌の生育に比例する. pHは生育の進むに従い大となるが, 小球菌の方が上昇度が大である. 2. Glucose, sucrose を0.5, 2.0, 5.0% 添加した場合, 糖含量の多い程, 生育は良好で28℃の下に30ccの培養液では21日目に最高値に達する. 糖の消費量も菌の生育と比例し, 糖の経済率(菌体重/消費糖量×100)は0.5%, 2.0%に於て大である. 3. TCA cycle 構成有機酸を炭素源とした場合, pyruvic acid で生育は最もよく, 菌核の形成を認め, α-ketoglutaric acid, fumalic acid, succinic acid, acetic acid に於ても生育を認めた. 4. 窒素源として水稲茎内に含有されるアミノ酸を供試した場合, 良好なものとしては asparagine, glutamic acid, alanine, aspartic acid, 中位のものとしては α-amino butylic acid, glycine, valine, glutamine, tyrosine, 不良のものとしては cystine, lysine, leucine, threonineであつた. 色素産出量は tyrosine が最大で, 次いで asparagine, glutamic acid も多かつた. 5. 培地の C/N ratio と菌の生育との関係に於て, C, Nとも増加するに従い生育は良好で, 色素の産出も同様である. pH はC源の少い程, N源の多い程大きい値を示す. 菌核形成はC源の2.0%以上, N源の0.5%が多い傾向を示す. 菌核形成に要する日数は5~7日で C/N ratio による差異は見られない.
|